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100%オーナー企業の問題

  • 投稿:2015年02月03日
  • 更新:2024年02月19日

町田の相続,遺言,成年後見,会社設立の専門家,司法書士の佐伯知哉です。

世の中の会社の内、99%以上はいわゆる中小企業ですが、その中小企業の中でも株式の100%を社長が保有している100%オーナー企業も少なくありません。

100%オーナー企業だと、定款変更が自由自在に行え、定款自治がフレキシブルというメリットがある反面、オーナー社長が判断能力を失ったり、死亡してしまった場合に相続人間で協議が整わない場合などは、会社経営がストップしてしまうリスクをはらんでいます。

このリスクを回避するために、色々な方法があります。

以下に例を挙げて見ましょう。

補欠取締役の選任

株主兼代表取締役が判断能力を失ない成年被後見人や被保佐人となったり、死亡した場合(取締役が欠けた場合)に、株主総会によって予め定めた取締役を選任しておきます。

いわゆる補欠取締役です。

オーナー社長が自ら信頼できる人物を補欠取締役をして選任しておくことで会社機能停止に備えたリスクヘッジが可能です。

ヒーロー株の導入

補欠取締役の選任だとオーナー社長が判断能力を失った場合にすぐに対応できないデメリットがあります。

なぜなら、判断能力が欠けた場合にすぐに成年被後見人となるわけではなく、家庭裁判所の審判が必要になってくるからです。

また、オーナー社長が行方不明になった場合にも、失踪宣告の手続きなど家庭裁判所を絡めた方法が必要になります。

特に失踪宣告では1年以上手続きに時間がかかりますので、会社の機動的な運営に大きな影響を及ぼします。

そこでこのの方法となります。

ヒーロー株とは会社法に定められている属人的株式の一種で、例えば次のように定款で定めます。

 

第○条 株主Bは、株主Aに下記の事由が生じている間に限り、その有する株式1株につき300個の議決権を有する。

一 認知症、病気、事故、精神上の障害などによる判断能力の喪失

二 行方不明

・・・・・など

 

オーナー社長が自分の保有する株式の内、1株だけを信頼できる人物に譲って、上記のように定款で定めておいて万が一に備えるという方法です。

遺言書の作成

オーナー社長が死亡した場合にしか対応できませんが、一番シンプルです。

自分が死んだ時に、会社を譲る人間等に株式を相続させるように遺言書で定めます。

相続人が数名いて、協議がまとまらないと会社経営がストップしますので、有効な方法です。

 

オーナー社長が元気で何も問題ない時期は良いのですが、今後高齢になった時などに備えて定款の見直しや遺言作成でご自身の会社のリスクに備えることが今後必要になってくるでしょう。

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