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権利証っていつまで保管しとかなければならないの?
- 投稿:2019年11月22日
- 更新:2024年06月12日
※このコラムは動画でも解説しています。
不動産をお持ちの方なら皆さんお持ちだと思いますが、「権利証」という超重要書類があります。
正確に言うと、登記済証や登記識別情報というものです。
これらの違いについては過去にコラムを書いていますのでこちらを見て下さい↓
登記済証とか登記識別情報という表現は正確ですが一般的になじみがありませんので、以下、総称して権利証と書かせていただきます。
さて、この権利証ですがまずは不動産を所有している間はずっと持っていてください。
まあ普通の感覚だと「不動産=権利証」というイメージなので捨ててしまうことはないかと思います。
権利証は、再発行できませんし、売却したり不動産に担保を設定する時などに必須の書類となります。
万が一紛失してしまうと、売却や担保設定する時に余計な手間や費用がかかったりして、すんなりと手続きが進まなくなってしまいます。
ですので、まずは無くさないで下さいね!!
不動産を売ったり、相続した後は古い権利証は捨ててよい??
じゃあ、不動産を売却してしまったり、相続が発生して名義が新しい人に変わった場合に使い終わった古い権利証って保管しておく必要はあるのでしょうか。
答えは、「捨ててしまっても構わないことが多い」ということになります。
「~ことが多い」という所が引っかかると思います。
すでに、売却なり相続によって名義が変わっているので、その権利証に権利は残っていません。
煮るなり焼くなり好きにして下さい!!とお伝えしたいのですが、
世の中に絶対という言葉はないのが持論のわたくし。
権利が残っていない古い権利証にも、実は権利が復活することがあるのです。
それは、不動産を売却した後に、売買契約が後々無かったことになった場合に、古い権利証の権利が復活します。
例えば、売買契約に何らかの瑕疵(欠陥)があって、契約が後々解除されたような場合には法律的にはこの契約は無かったことになりますので、登記簿上の新所有者の名前も抹消されて旧所有者(売主)名義に復活します。
併せて、元々持っていた古い権利証も効力がなんと復活します。
ですので、売買が終わった後の古い権利証であってもよっぽどのことが無い限りは権利が復活することはないので捨ててしまっても構わないのですが、「絶対」いらないとは司法書士側からすると言えないのです。
ただ、相続の場合は死亡した人が復活することはないので、被相続人名義の古い権利証は、相続登記完了後は破棄してしまっても問題ありません。
古い権利証を捨ててはいけない2パターン
以上のとおりなのですが、上記の例外以外に売買や相続の後でも古い権利証を破棄してはいけない場合があります。
一つ目は、不動産が共有名義になっている時に、共有持分部分だけを売買したり相続した場合です。
この場合、現行の登記識別情報であれば各共有者ごとにそれぞれ登記識別情報が発行されるので問題にはならないのですが、旧式の登記済証の場合は共有者全員に対して一つしか交付されません。
ですので、共有者のうちの一部の人がその持分を売買や相続で別の人の名義にした場合であっても残りの共有者の権利については以前として古い権利証(登記済証)に残った状態となります。
二つ目は、土地が分筆されて分筆後の土地を一部売却したような場合です。
分筆とは、大きな一筆の土地を小さな数筆の土地に分けることと考えて下さい。
大きな土地を分筆して数筆の土地に分けた場合には、分筆後の土地それぞれにあらたに権利証(登記済証・登記識別情報)は発行されません。
つまり、元の大きな土地の権利証が分筆後の全ての土地に権利証になるわけです。
ですので、分筆後の土地の一部を売却して他の人に名義が変わった場合であっても売買の対象とならなかった残りの土地の権利は依然としてその権利証には残っているので、これを破棄してしまうと大変なことになってしまいます。
まとめ
色々と書いたのでまとめます。
- 不動産を売却した後でも権利証の効力が復活する場合があるので即破棄するのは避けた方がよい
- 不動産の名義が相続によって変わった場合は、被相続人名義の古い権利証の効力は復活することはないので相続登記終了後は破棄してしまって構わない
- 権利証が旧式の登記済証である場合に、共有名義不動産の一部の人がその共有持分を売却したり相続によって名義が変わった場合であっても権利証には他の共有者の権利が残っているので破棄しないこと
- 大きな土地を分筆した後に、分筆後の一部の土地を売却した後でも他の土地の権利は残るので分筆前の土地の権利証は破棄しないこと