[相続]
【司法書士以外の全士業に伝えたい】遺言書、遺産分割協議書の物件の記載の仕方
- 投稿:2020年05月15日
- 更新:2024年06月12日

突然ですが、司法書士以外の全士業に伝えたい。
特に相続分野に関わる士業に伝えたい内容です。
そして、自分で遺言書や遺産分割協議書を作ろうとしている一般の方にも伝えたい。
遺言書にせよ、遺産分割協議書にせよ財産の中で不動産がある場合には不動産の記載が必要になります。
遺言書も遺産分割協議書も一番大事なのは、法律や税務的な側面からご依頼いただいたお客様に、作成時もその後のことまで考えてプロとして対応することです。
ですので、ここで弁護士、税理士、行政書士など、どの士業について司法書士としてとやかくいうことはまったくございません!
ただ一つだけ言わせていただきたいことは、遺言書にせよ、遺産分割協議書にせよ、不動産がある限りは〝必ず登記がからむ″ということです。
何が言いたいかというと、登記がからむ以上はここは司法書士の土俵ということです。
書面の実体的な内容については色々ありますが、登記するときに不動産の物件の書き方がよろしくない場合が非常に多いのです!
ここは上から目線で行かせて下さい!
せっかく法律的にも税務的にも最適解を導き出したのに、あとで手続きに困る書面は途中まではスゴ技決めていても着地で失敗しているようなものです!
以下、登記の際に間違いない書き方を伝授いたします!!
※このコラムは動画でも解説しています。
遺言書と遺産分割協議書の不動産の書き方
1.土地・建物の場合
土地は所在、地番、地目、地積、
建物は所在、家屋番号、種類、構造、床面積を登記簿どおりにきちんと書いて下さい!

2.区分所有建物(敷地権付)の場合
マンション等の区分建物の場合は少し長くなりますが、一棟の建物の表示、専有部分の建物の表示、敷地権の目的たる土地の表示を登記簿どおりにきちんと書いて下さい!
一棟の建物の表示に「建物の名称」がある場合は構造と床面積を省略できます。無ければ全部書きます。

よくある間違い
- 土地や建物の所在に都道府県名を書いている。
- 土地の地番が〇〇番地〇〇のようになっている(正解は、〇〇番〇〇)
- 建物の所在は〇〇町の後に〇〇番地〇〇のような形で数字が入るのに入っていない。
- 建物の構造で「スレート葺」が「ストレート葺」になっている。
- 不動産を登記簿ではなく評価証明書や課税明細書をベースに書いてしまっている。
- 不動産を住居表示で書いてしまっている場合です。
住居表示というのは、いわゆる皆さんが住所として用いているものです。
住民票に記載されているものですね。
これは、皆さんの住所であって、土地や建物の特定をするものではありません。
最後の不動産を住居表示で書くのは、さすがに士業でやらかす人はほとんどいませんが、相続登記のご依頼の際に某士業の方に作成してもらったとお客様がもってきた遺産分割協議書が不動産を住居表示で書いてしまっていました。
なぜ住居表示で不動産を記載したらまずいかというと、それって建物なのか土地なのか分かりませんよね。それに、住居表示と地番や家屋番号が異なることは普通にあります。
ですので、不動産を遺言書や遺産分割協議書に書く時は、登記簿どおりにきちんと書かなればなりません。
少々のことならなんとかなることが多いですが、不動産の書き方がまずいと、きちんと特定できていないことになって最悪登記手続きができないことがあります。
最後に
登記手続きは最後に行うことが多いので、一般の方が自力で作成したものから色々な他士業の先生方が作成された書面が持ち込まれます。
中には残念なものもあって、せっかく遺産分割協議書を作ったのに登記手続きに使えず再度こちらで作成して押印しなおしてもらうようなこともあります。
もめているような相続だと他の相続人から再押印もらうことが難しかったりすると致命的ですし、遺言書では遺言者はすでに亡くなっていますから、せっかく遺言を書いたのに手続きに使えないとか最悪ですよね。
今回は土地、建物、区分建物の基本的な記載方法について書かせてもらいましたが、仮換地や未登記建物など注意しなければならなことは沢山ありますので、不動産がからむような相続手続きの際は一度司法書士のご相談いただければと思います。