※このコラムは動画でも解説しています。
目次
株式会社と合同会社の比較
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
設立コスト | 高 | 低 |
節税メリット | 同じ | |
社会的認知度 | 高 | 低 |
代表者の肩書 | 代表取締役 | 代表社員 |
役員の任期 | 最大10年 | 無し |
決算公告 | 必要 | 不要 |
社会保険の加入義務 | 加入義務あり | |
利益の配当 | 出資に比例する | 必ずしも出資に比例しない |
上場(株式公開) | 可 | 不可 |
1.設立コストについて
設立コストですが、株式会社の場合は実費が約20万円かかります。
対して合同会社の場合は実費が約6万円で済みます。
2.節税メリットについて
株式会社も合同会社も節税メリットは変わりません。
ですので、どちらが得といったものはありません。
3.社会的認知度について
株式会社であれば誰もが知っていると思いますが、合同会社はマイナーなので知らない人も多いです。信用面にも関わる部分にはなるので、認知度や信用を大事にするのであれば株式会社を選択すべきでしょう。
4.代表者の肩書について
代表者の肩書ですが、株式会社であれば代表取締役となり、合同会社の場合は代表社員となります。
代表社員という肩書になるので、従業員の代表と勘違いされることもあります。
名刺の肩書は自由なので合同会社であっても「社長」「代表」「CEO」といった形を取ることもできますが、「代表取締役」としてしまうと明らかに間違いなので、たまにいらっしゃるのですが、こういった名刺を見ると残念な感じになってしまいます。
5.役員の任期について
株式会社では最大10年までしか伸ばすことができません。対して合同会社の場合は役員い任期がありません。
役員の任期がないことのメリットとして、役員の変更や再任にともなう登記手続きが不要ということです。
その分コストを減らすことができます。
6.決算公告について
決算後に株式会社の場合は公告義務というものがあります。
定款で定めた方法で貸借対照表などを誰でも見られるように公示しなければならないのです。
合同会社の場合は公告義務がないので、例えば公告方法を官報で掲載するとしていた場合の公告費用は5~6万円かかってしまうのをその分抑えることができます。
7.社会保険の加入義務について
株式会社でも合同会社でも社会保険の加入義務はあります。
8.利益の配当について
利益の配当を行う場合、株式会社でも種類株式を発行していない限りは、出資の割合の応じて平等に配当が行われます。同じ株式を100株ずつもっているAさんとBさんで配当額に違いがでることはないのです。
合同会社では定款で定めることによって出資割合に応じずに配当額を決めることができます。出資額が同じAさんとBさんに違いを付けることができるのです。
9.上場(株式公開)について
上場(株式公開)を行うには、そもそも株式を発行していなければなりません。
合同会社の場合、出資者は「持分」を取得し、株式を取得するわけではないのです。
ですので、株式公開ということがありえなく、上場することができません。
会社の規模を大きくすることを予定しているのであれば、株式会社を選択すべきでしょう。
株式会社と合同会社の決定的な違い
前述した比較項目より、非常に大きな違いが両者にはあります。
それは、株式会社は出資者と役員は別々の人でもかまわないのに対して合同会社は出資者が役員になることです。
ほとんどの中小企業がオーナー社長なので、イメージしにくいかもしれませんが、株式会社に求められているのは「所有と経営の分離」です。
金がある人が金を出して、経営できる人が経営をするのです。
株式会社の場合は、株主が一番偉いのです。
役員がポンコツなら株主総会で首を切ってしまえば良いのです。
逆に合同会社の場合は出資者=役員です。
役員全員が会社のオーナーということになります。
ですので、会社が軌道に乗ってきたので新たに役員を入れようと思ったときに、新役員には出資をしてもらわなければならなくなります。
そうすると新役員も会社のオーナーの一人になりますので、後で簡単にやめてもらうこともできません。何せオーナーの一人ですからね。
ここは非常に重要なところなので良く覚えておいて下さい。
司法書士さえき事務所としてのアドバイス
私がお客様に株式会社が合同会社のどちらを選ぶべきか意見を求められた場合は、今後のビジョンをお聞きしてアドバイスをさせていただきます。
簡単にいうと、会社を大きくしたい、ビジネスとしてがっつりやっていきたいということであれば株式会社をおすすめします。
逆に、親族だけで会社を作って大きくするつもりはなく、どちらかというと法人成りすることによる節税の部分しか興味がないといったような場合には合同会社をおすすめします。
合同会社を作ったあとに株式会社に組織変更することは可能なのですが、余計な手間や費用がかかりますので、どうせやるなら最初から決めておいた方が良いでしょう。