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昔の権利証と今の権利証
- 投稿:2016年02月23日
- 更新:2024年02月15日
不動産を持っている人なら所有している権利証ですが、実は平成17年に不動産登記法という法律が変わってから、昔のタイプと今のタイプの2種類があります。
いずれにしても超重要書類であることに変わりはありません。
今回は昔の権利証と今の権利証の2タイプについて書きます。
そもそも権利証とは
昔のドラマなんかでは、そのスジの人が借金のカタに家の権利証を取り上げてしまうといったシーンがありました。ドラマの中ではこれで家は取り上げられてしまったというようなデフォルメされた表現になっていて、そのイメージが強い人は権利証=家となっているのではないでしょうか。
実際は権利証とは、その不動産の所有者であることを証明する書類の一つという意味合いのものでしかありません。権利証という重要な書類をもっている、だから不動産の所有者であると推測されるということです。ですので、実際不動産を売却するには権利証を持っているだけでは売ることは出来ないのです。
ちなみに権利証でも権利書でも、正確な(法律的な)表現ではないのでどっちで呼んでもかまいません。正確には昔の権利証のことは、登記済証(とうきずみしょう)といい、新しい今の権利証のことは、登記識別情報(とうきしきべつじょうほう)といいます。
昔の権利証
昔の権利証、登記済証とは、和紙に法務局の朱色の登記済という印鑑と登記した年月日受付番号がスタンプされた書類のことです。仰々しい「不動産登記済権利証」等の文字がかかれた表紙になっていますが、これは司法書士側でつけたものなので、実体は中身の登記申請書の副本に上記の印鑑が押されたものになります。
明治32年に不動産登記法が施行されてから、新法に改正されるまでの100年ほどはこのタイプの権利証が発行、使用されていました。古いものは中の文字が筆で書かれているものも多く、なかなか解読も困難なものも多いです。
余談ですが、私の祖父も司法書士でしたので、当時は手書きの権利証をお客さまに渡していたようです。
今の権利証
今の権利証、登記識別情報とは、昔のものとうって変わって、A4サイズのグリーンの紙の下のほうに目隠しシールが貼られたものになります。シールの下にはアルファベットと数字の12桁で組み合わせたパスワードが記載されています。実はこのパスワードが登記識別情報の本体でして、例えばコピーでも手書きで書き写しても、要はこのパスワードさえ分かれば原本と同じ効力を持つものになるのです。ですので、週刊誌の袋とじのように(笑)、このシール、所有者であれば剥がしたい衝動にかられると思うのですが、他人に見られてしまうと盗まれたことと同じなので、セキュリティーのため目隠ししたままで保管されることを強くお勧めします。
見本は下のシールが剥がされていますが、発行時はパスワードが見えないように目隠しされています。
新不動産登記法になってからは、登記をオンラインで申請できるようになった(時代の流れですね)ので、権利証も紙ではなく情報としてのパスワードとしたのです。
昔の権利証と今の権利証で違いはあるのか
細かい点は置いといて、前述した形式の違い以外は基本的にはありません。司法書士として手続きするにあたっては両者で少し違いが出てくることもあるのですが一般の人にはまったく関係ないので割愛します。とにかく失くしたり盗まれたりしないように重要に保管する必要があることには違いはありません。
最初に権利証とは、不動産の所有者であることを証明する書類の一つでしかないと書きましたが、これは軽い意味ではなく、不動産という一番高額な財産の所有権を立証する書類となりますので重めに捉えて下さい。権利証は失くしてしまうと、いかなる理由でも再発行はききませんので、その点も要注意です。
また、どのような場合に使うかというと、
・不動産を売るとき
・不動産を担保に銀行から融資を受けるとき
基本的にはこのくらいです。その出番が来るまでは金庫などにしっかりとしまっておきましょう。