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[不動産(売買以外)]

敷地権が賃借権のマンションの売買

  • 投稿:2016年07月15日
  • 更新:2024年02月15日
敷地権が賃借権のマンションの売買

最近ご依頼いただいた登記で敷地権が一般定期借地権のマンションの所有権移転がありました。
分譲型のマンションの場合、ほとんどは敷地権が所有権、つまり建物の専有部分(部屋)も含めて土地の持分権も取得するのですが、まれに敷地権が賃借権(一般定期借地権を含む)のことがあります。

一般定期借地権とは

賃借権の一種で、土地を借りている権利になります。
通常の賃借権との大きな違いは、「定期」という言葉が表すとおり、期限が来たら、土地の所有者(地主)に土地を返還する必要があるといことです。

ですので、通常の土地の敷地権が所有権であるマンション(この場合、土地の所有権も専有部分に割合によって取得します)よりは価格としては安くなります。

敷地権が賃借権の場合の注意事項

マンションを購入する一般の方にはほぼ関係が無いのですが、司法書士としては結構注意が必要な案件です。
通常、敷地権が所有権のマンションの場合は、建物の専有部分の所有権移転登記をすれば、自動的に土地の所有権(持分権)も付いて移転されます。

ですので、土地の登記簿謄本を確認する必要はありません。

しかし、敷地権が賃借権の場合は、事情が異なってきます。

民法第612条
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

つまり、マンションを購入するにあたって、地主から承諾をもらわないと建物の専有部分の正式な所有者になれないということになります。

ただし、この賃借権に「譲渡を許す旨の特約」が付いていれば、地主の承諾は不要になります。予め譲渡するのにOKをもらっているということになるからです。
司法書士は、敷地権が賃借権のマンションの場合は、必ず土地の登記簿謄本をチェックします。
上記の「特約の有無」を確認するためです。

もし、特約が無い場合は原則どおり地主から承諾書をもらわなければなりません。
この承諾書には地主の実印を3ヶ月以内の印鑑証明書の添付が必要です。
通常は「承諾料」を地主に支払う必要があるので、この費用も売買代金に含まれていることが多いです。

保証金返還請求権

敷地権が賃借権のマンションの場合、地主に対して、土地の賃料を支払う必要があります。
地主としては取りっぱぐれがないように「保証金」を要求することが多いようです。
専有部分の所有者はそれなりの金額を預託することになるので、地主に対する保証金を担保するために、「保証金返還請求権」を被担保債権とする抵当権を底地(賃借権が設定されている土地)に付けるケースがあります。

こういった場合だと、手続きとしては更にややこしくなり、新しい専有部分の所有者に対して、通常はこの保証金返還請求権も譲渡するので、付随して抵当権の移転登記も必要となります。

また、債権の譲渡は、対抗要件として譲渡人(現所有者)から債務者(地主)への確定日付のある通知か、債務者の確定日付のある承諾が必要となります。
登記手続き以外にも債権譲渡に対しての対抗要件を備える手続きもしなければなりません。

まとめ

  • 敷地権が賃借権(一般定期借地権)のマンションは土地の登記簿謄本をチェックして譲渡を許す旨の特約の有無をチェックしなければならない。
  • 特約が無い場合は地主に承諾書と印鑑証明書(3ヶ月以内)を用意してもらう必要がある
  • 保証金返還請求権を被担保債権とする抵当権が底地に付いている場合は、抵当権移転登記と債権譲渡に関する対抗要件を備える手続きが必要
敷地権が賃借権のマンションの売買

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