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登記はどこの司法書士に頼んでも同じか?
- 投稿:2017年12月11日
- 更新:2024年06月12日
※このコラムは動画でも解説しています。
町田の司法書士佐伯知哉です。
「登記ってどこの司法書士に頼んでも同じでしょ?」
よく言われます。
一般の方からならまだしも、同業者や他士業の方から言われると少し悲しくなってしまうのですが、私はどこに頼んでも同じとは思いません。
確かに、弁護士や税理士の場合ですと、弁護士では腕の良し悪しによって勝訴するか敗訴するかの結論が分かれることもあると思います。
税理士では、相続税の申告の際に色々な評価や控除の知識によって納税額が変わってくることもあるでしょう。
司法書士のメイン業務である不動産登記や商業(法人)登記は、結果に差が出ることは無いと考えられています。
でも、果たしてそうでしょうか。
確かに、単純な不動産売買による所有権移転登記で売主Aさんから買主Bさんに名義変更する場合だと結果に違いは出てきません。
でもこれって弁護士でも税理士でも一緒じゃないでしょうか。
単純な、明らかに勝訴出来る様な案件だとドラマのように結論をひっくり返すことはまず出来ないでしょう。
相続税の申告でも、単純な案件であれば納税額に差が出るとは考えられません。
つまり、よっぽどポンコツな人に当たらなければシンプルな案件だと司法書士と同じように結果に差は出ないのです。
私も司法書士は成果物は誰がやっても変わらないから、どこに頼んでも同じと考えていた時期がありました。
だから、同業者と差をつけるのは結果までの過程の部分か価格の部分しかないと考えていました。
レスポンスの速さや、やり取りが煩雑でなくクライアントにストレスを与えないように考えて行動する。
ホウレンソウ(報告・連絡・相談)はしっかりするけど、やり過ぎない。
など、自分がやってもらいたいことを出来るだけやるようにする。
それが正解かは分からないですけど、価値観は人それぞれなのであくまで自分のモノサシで考えて行動しないといけないと私は思っています。
私の好きな筋トレに例えると、ダンベルをA地点からB地点に動かすだけでは筋肉は効率よく付きません。
そこには細かいのですが様々なテクニックや神経系の発達、例えばダンベルの軌道、手幅や力の入れ方など実に奥が深いのです。
結果だけ見ると到達地点は同じなので、誰がやっても同じように感じるのですが、そういうわけでは無いのです。
ゴールに行き着くまでの過程は重要ということになります。
そして、今は結果にも差が出ると思っています。
お客様から離婚に伴う財産分与で夫から妻へ不動産の名義を変えて欲しいと依頼があったとします。
それを言われたとおりにそのままやるのは司法書士であれば誰でも出来ます。
結果に差は出ません。
でも、住宅ローンの状態や夫の収入と養育費の負担など考慮するべき部分はいくらでもあります。
夫から妻への名義変更というゴールは同じでもそれを言われたとおり「財産分与」を登記原因としてするのか、例えば「売買」でやるのか、様々なスキームが考えられると思います。
登記簿上の結果は同じ(夫→妻)であったとしても、実質的な結果は違ってきます。 単なる代書屋ではなく、法律判断の部分のサポートが出来るのです。
手前味噌ですが、司法書士の素晴らしいところは、争いを未然に防ぐことに長けていることだと思います。
双方から話しを聞いて、民法では原則禁じられている契約当事者双方からの登記委任を受けて代理人として手続きを行うことが出来ます。
起こってしまった争いは仕様が無いことではありますが、そもそも争いが起こらなければそれに越したことはありませんよね。
争いを未然に防ぐためには、しっかりとした法律判断をして、後で問題にならないような結果を残しておかなければなりません。
その為には、どこの司法書士に頼んでも同じと言われないように研鑽を怠ることは出来ません。
形の無いものを売り物にしていますので、「過程」と「結果」にご満足いただけるように努力して参ります。