ご依頼の経緯
O様のお母様が亡くなり、不動産をO様名義に変更するため相続登記を行う必要がありました。相続人はO様とアメリカ在住のお姉様の2名でしたが、お母様の生前、O様が介護や費用の援助を行っていたことから、お姉様もO様への単独相続に同意していました。
しかし、問題はお姉様が海外に住んでいることでした。通常、相続登記の際には遺産分割協議書に相続人全員の署名・押印を行い、日本の市区町村役場で取得した印鑑証明書を添付する必要があります。しかし、お姉様は日本に住民票がないため、印鑑証明書を取得できませんでした。
O様は当初、ご自身で手続きを進めようとしましたが、海外在住の相続人がいる場合の対応方法が分からず、専門家に相談することを決意。司法書士を選ぶ際には「事務所の距離が近いこと」「相談しやすい雰囲気」であることを重視し、当事務所へご相談いただきました。
担当司法書士のコメント
海外在住の相続人がいる場合、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書の代わりに「サイン証明書(署名証明書)」を取得する必要があります。通常、サイン証明書は在米日本大使館(または領事館)で発行されますが、アメリカは国土が広大なため、大使館や領事館へ行くのが難しいケースも少なくありません。
そこで、O様のお姉様には アメリカの公証役場でサイン証明書を取得する方法 をご提案しました。
この方法を利用すれば、お姉様が大使館や領事館まで遠出することなく、居住地に近い公証役場で手続きが可能になります。
さらに、公証役場で発行されるサイン証明書は 英文 で発行されるため、日本の登記手続きに利用するには 日本語翻訳文 が必要です。そこで、当事務所で翻訳の手配も行い、登記申請時に必要な書類をすべて整える形でサポートしました。
具体的に行った手続き
- 遺産分割協議書の作成と送付
- 遺産分割協議書をPDF形式で作成し、O様のお姉様へメール送信
- お姉様がアメリカの自宅でプリントアウト
- アメリカの公証役場でのサイン証明書取得
- お姉様が公証役場へ出向き、遺産分割協議書に署名
- 公証役場でサイン証明書を発行
- 国際郵便での書類返送
- お姉様が署名済みの遺産分割協議書とサイン証明書を当事務所へ郵送
- サイン証明書の翻訳手続き
- 当事務所で翻訳文を作成(登記申請には翻訳文の添付が必須)
- 相続登記の申請
- 必要書類を法務局に提出し、O様名義の登記完了
その結果
今回のケースでは、 遺産分割協議書は相続人全員が一枚の書類に署名押印する必要はなく、同内容の協議書であればそれぞれ署名押印したものを提出すれば登記手続き上問題ない という制度を活用しました。その結果、O様のお姉様が日本に一時帰国することなく、スムーズに相続登記を完了することができました。
また、O様にとっても、書類の準備から登記完了まで LINEでの迅速なやり取り を通じて対応したことで、安心して手続きを進めていただくことができました。
お客様メッセージ
O様のコメント:
「久保田さん(当事務所の担当司法書士)が丁寧に説明してくださったので、安心してお任せすることができました。LINEでの質問にもレスポンス良く回答いただき、とても助かりました。初めての相続登記で分からないことだらけでしたが、最後までしっかりとサポートしていただき感謝しています。」
まとめ
海外在住の相続人がいる場合、相続登記の手続きは煩雑になりがちですが、 公証役場でのサイン証明書取得 という方法を活用することで、スムーズに手続きを進めることが可能です。今回の事例では、当事務所が翻訳手配も含めて一貫してサポートすることで、お客様の負担を最小限に抑えることができました。
当事務所では、 海外在住の相続人がいるケースでも適切な対応 をご提案いたします。東京都町田市周辺で 相続登記を検討されている方は、お気軽にご相談ください!