事例の背景
N様は東京都町田市にお住まいの50代の男性で、85歳になるお母様の財産管理についてご相談に来られました。お母様はこれまで一人暮らしを続けており、家事や買い物もある程度は自分でこなしていましたが、最近になって物忘れが増え、認知症の兆候が見え始めたといいます。
N様は、母親名義の不動産や預貯金をどのように管理していくか悩んでいました。特に、判断能力が低下してからでは手続きが難しくなるため、早めに対策を立てたいという思いがありました。インターネットで調べるうちに「成年後見制度」という方法があることを知りましたが、裁判所の関与が必要で、場合によっては家族ではなく第三者が後見人になることもあると知り、不安を感じるようになったそうです。
「できれば、家族で母の財産をきちんと守りたい。でも、後見制度だと自由に対応できない」と感じたM様は、別の方法を模索する中で「家族信託」という仕組みを知りました。しかし、家族信託は比較的新しい制度であり、契約内容も複雑で、素人が独学で進めるのは難しいと感じました。
そんなとき、YouTubeで当事務所の家族信託に関する動画を見つけ、「ここなら信頼できそうだ」と感じたM様。実際の事例解説や専門的な説明を聞くうちに、家族信託の仕組みをしっかり理解してサポートしてくれる専門家に相談しようと決心されたそうです。
当事務所からのご提案
N様からのご相談を受け、まず最初にお母様の財産状況と今後の生活設計を丁寧にヒアリングしました。所有されている不動産はお母様名義の自宅1件と、ある程度の預貯金。今後、介護施設への入所を検討しているとのことから、将来的に自宅の売却や、介護費用の支払いに柔軟に対応できる仕組みづくりが必要と判断しました。
最初に検討したのは、「成年後見制度」と「家族信託」「任意後見制度」の3つの選択肢です。成年後見制度は、判断能力が低下した後でも確実に財産管理ができる一方で、裁判所の監督下に置かれるため、家族の意向で柔軟に資産を動かすことが難しいというデメリットがあります。任意後見制度は事前に契約を結ぶことで柔軟性を持たせることも可能ですが、発動のタイミングや後見監督人への報酬の発生など、運用面での負担が少なくありません。
これらを踏まえ、当事務所としては「家族信託」を中心とした設計を提案しました。信託の対象は、お母様名義の自宅不動産と一部の預貯金。受託者には息子であるN様を設定し、受益者はお母様としました。これにより、判断能力が低下しても、N様が信託契約に基づいて不動産の管理や売却、介護費用の支払いなどを行える仕組みが整います。
契約内容の設計では、「信託の目的」と「信託終了時の処理」を明確化することを重視しました。特に、信託終了後の財産をどのように相続人へ承継させるかを具体的に定めることで、将来の相続トラブルを未然に防ぐ狙いがあります。信託契約書の作成にあたっては、専門用語をかみ砕いて説明しながら、N様とそのご家族全員が内容を十分に理解・納得できる形で進めました。
また、実務面では「信託口座の開設」や「不動産の名義変更」「信託登記」など、複雑な手続きをすべて当事務所がサポート。特に、海外在住のご家族にもリモートで説明を行い、全員の同意を得たうえで契約を締結しました。
さらに、N様が懸念されていた年金収入の取り扱いについてもアドバイスを行いました。年金は信託口座に直接振り込むことができないため、判断能力の低下後に備えて、銀行の代理人制度を併用する仕組みも整えました。
このように、N様の希望である「母の生活を守りつつ、家族で管理できる仕組み」を形にするため、家族信託と関連制度を組み合わせた最適なプランをご提案しました。結果として、お母様の今後の生活資金の流れが明確になり、N様も「これで安心して介護の準備ができる」と前向きな気持ちで次のステップに進まれました。
お客様の声
母の認知症の兆候が見え始めた頃から、将来の財産管理について不安を感じていました。成年後見制度も検討しましたが、家族以外の第三者が関わる可能性があると聞き、どうしても踏み切れませんでした。そんな中で家族信託という仕組みを知り、YouTubeでこちらの事務所の動画を拝見したのがきっかけでした。内容がとても分かりやすく、「ここなら信頼できそうだ」と感じて相談を決めました。
実際に相談してみると、家族信託と任意後見の違い、信託契約の仕組みなどを丁寧に説明してくださり、家族全員が納得して進めることができました。海外に住んでいる家族もいる中で、オンラインでの説明会を開いてくださったのも本当に助かりました。信託用口座の開設や不動産登記など、細かな部分までサポートしていただき、安心して手続きを完了することができました。
もし自分たちだけで進めていたら、ここまでスムーズにいかなかったと思います。母の生活を守りながら、家族でしっかりと支えていける体制を整えられたのは、先生のおかげです。これからも何かあれば相談させていただきたいと思っています。