事例の背景
S様は東京都町田市にお住まいの40代の女性。お父様が亡くなられ、実家の土地と建物を相続することになりました。相続人はS様と、知的障害のある弟様の2人。しかし、弟様は判断能力に制限があり、遺産分割協議に参加することができませんでした。
最初は「自分が弟の代わりに署名すればいいのでは」と考えたS様でしたが、インターネットで調べるうちに、それが法律上できないことを知り、どうすれば良いか分からなくなったといいます。家庭裁判所で成年後見制度の説明を受けても、必要な書類や申立ての流れが複雑で、仕事の合間に自力で進めるのは難しいと感じていました。
「どこに相談すればいいのか分からない」「自分が間違った判断をして弟に不利益が出たらどうしよう」という不安を抱えたまま数か月が経過。そんなとき、通勤途中の南町田駅で司法書士法人さえき事務所の看板を見かけたことをきっかけに、相続に詳しい専門家へ相談してみようと考えるようになりました。
当事務所からのご提案
S様のご相談内容は、「相続登記をしたいが、共同相続人である弟様に知的障害があり、遺産分割協議ができない」というものでした。このようなケースでは、まず弟様に代わって法的な判断や手続きを行う「成年後見人」を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。
しかし、成年後見人の申立て手続きは、戸籍や診断書、財産目録など、専門的かつ多岐にわたる資料を整える必要があり、一般の方にとって非常にハードルが高いものです。そこで当事務所では、相続全体の流れを整理したうえで、まず「成年後見人の申立て支援」を第一ステップとしてご提案しました。
申立てのために必要となる資料をリスト化し、取得方法や提出書類の作成もサポート。特に、診断書や財産状況の整理などは、S様お一人では難しい部分が多いため、当事務所でフォーマットや具体例を示しながら丁寧に進めました。また、家庭裁判所での面談や今後の流れについても、専門家として事前に説明を行い、安心して手続きを進められるよう努めました。
数週間後、家庭裁判所により弟様に司法書士の専門職後見人が選任されました。ここからが第2ステップです。当事務所は成年後見人の先生と連携を取りながら、遺産分割協議を進める準備を整えました。S様と成年後見人がそれぞれの立場から納得できる形で話し合いができるよう、遺産の内容や評価額、今後の維持管理方針を明確にし、公平で実行可能な協議案を提示しました。
協議は円満にまとまり、最終的にはS様がご実家の不動産を相続する内容で合意が成立。後見人の同意を得た正式な遺産分割協議書を作成し、その内容に基づいて相続登記の申請を行いました。申請後は問題なく登記が完了し、無事に不動産の名義をS様名義へ変更することができました。
本件のように、相続人の中に判断能力が不十分な方がいる場合は、感情的な側面だけでなく、法的な手続きの正確さが求められます。S様の場合も「後見申立 → 遺産分割協議 → 相続登記」という流れを一貫して当事務所でサポートすることで、無理なく安心して手続きを完了することができました。今後も同様のケースにおいて、依頼者とご家族の意向を尊重しながら、法的に安全な解決を目指してサポートしてまいります。
お客様の声
父が亡くなった後、相続登記をしなければならないことは分かっていたのですが、弟に知的障害があるため、どう進めればよいのか全く分かりませんでした。家庭裁判所の手続きも難しく、平日は仕事で時間も取れず、「自分一人ではとても無理だ」と感じていました。
そんな中、南町田駅で司法書士法人さえき事務所の看板を見かけて相談したところ、初回の面談で状況を丁寧に聞いてくださり、「まず成年後見の手続きから一緒に進めましょう」と具体的な道筋を示してもらえたことで、とても安心しました。
書類の準備や家庭裁判所への申立て、成年後見人の選任後の遺産分割協議、登記まで、すべての流れを一つひとつ分かりやすく説明してくださり、安心してお任せできました。もし自分だけでやっていたら、途中で行き詰まっていたと思います。最初から最後まで全面的にサポートしていただき、本当に助かりました。