■事例の背景
T様は、昨年10月に叔母が亡くなられたことをきっかけに、相続登記の手続きを進めようとしていました。叔母にはお子さんがいなかったため、甥であるT様に対して「自宅の不動産を相続させたい」という希望が生前からあり、叔母は司法書士に依頼して自筆証書遺言を作成していました。
T様は、遺言書の作成を依頼していた司法書士事務所にそのまま相続登記もお願いしましたが、数か月経っても手続きが進まない状況が続きました。当初は「専門家に任せているのだから大丈夫だろう」と思っていたものの、何度問い合わせても「確認中」「もう少しお待ちください」という返答ばかりで、不信感と不安が募っていったといいます。
登記が完了しないまま時間だけが過ぎていくなかで、「もしこのまま放置してしまうと、せっかくの遺言が無駄になってしまうのではないか」という焦りを感じるようになったT様。信頼できる専門家に改めて相談しようと考え、相続登記の実績が豊富な当事務所へご連絡をくださいました。
■当事務所からのご提案
ご相談を受けた当初、T様はすでに別の司法書士事務所に相続登記を依頼しており、契約上の関係が残っている状態でした。そのため、まず最初に行ったのは、現状の整理と契約関係の確認です。相続登記は「委任契約」に基づいて進められるため、他の事務所がすでに受任している場合には、契約を正式に解除しない限り、当事務所が代わりに手続きを行うことができません。T様にもその点を丁寧にご説明し、まずは前の司法書士事務所に契約解除の意思を伝えていただくことからスタートしました。
契約解除後、当事務所で改めて内容を確認したところ、叔母が作成した自筆証書遺言は法的要件(全文自書・署名・押印)は満たしていたものの、遺言書の内容があいまいで、このままでは登記手続きに使用できないことが判明しました。特に、相続対象となる不動産の記載や分配方法の表現に不明瞭な点があり、法務局での登記申請に支障が生じる可能性がありました。
このようなケースでは、遺言書の文面そのものを修正することはできません。そのため、当事務所では「遺言書の趣旨を尊重しつつ、相続人全員の意思を明確に示す」方法として、相続人全員の同意を得た上申書の作成を提案しました。この上申書には、遺言書の内容が叔母の真意であること、そして全ての相続人がその内容に異議を唱えない旨を記載しました。さらに、相続関係説明図の作成や戸籍類の再取得など、登記に必要な書類を一つひとつ丁寧に整えていきました。
また、手続きが長引いていたことによるT様の心理的負担を軽減するため、進捗状況を逐一ご報告し、「次にどの手続きがいつ完了するのか」を見える化しました。特に、以前の事務所で「何が止まっているのかわからない」という不安を抱えていたことから、手続きの段階ごとに明確なスケジュールを提示し、安心してお任せいただけるよう努めました。
最終的には、法務局にも事前相談を行い、上申書による補足で登記が受理されることを確認。相続人全員の署名捺印を得た上申書を添付して申請を行い、無事に相続登記を完了させることができました。結果として、叔母の意向を尊重した形で不動産の名義をT様へ移転することができ、T様にも大変ご満足いただける結果となりました。
■お客様の声
叔母の遺言書をもとに相続登記を進めていましたが、最初に依頼した司法書士事務所では何カ月経っても手続きが進まず、不安ばかりが募っていました。正直なところ、「専門家にお願いしても、こういうものなのかな」と半ばあきらめていたところ、インターネットでさえき事務所さんを見つけ、思い切って相談してみました。
最初の打ち合わせで状況を丁寧に整理してもらい、「どの部分で手続きが止まっているのか」「どんな方法なら登記ができるのか」を明確に説明してもらえたのがとても安心できました。実際の手続きも驚くほどスムーズで、これまでの停滞が嘘のように進みました。進捗状況も逐一報告してくださり、安心してお任せすることができました。
最終的に、叔母の遺志を形にできたことに心から感謝しています。もしさえき事務所さんにお願いしていなかったら、今も手続きが終わらず悩んでいたと思います。今後また相続関係で何かあったときは、迷わずお願いしたいと思います。