■事例の背景
F様のお母様は80代を迎え、長年所有してきた貸家や貸土地の管理を一人で行うことが難しくなっていました。入居者からの連絡対応や更新契約、固定資産税の支払いなど、日々の手続きが煩雑になる中で、通帳や権利証などの管理も不安定になりつつありました。
長男であるF様は、これまで母の手伝いをしながら管理を続けてきましたが、「もし母が認知症になったら、銀行口座が凍結されてしまうのでは」「自分が代理で管理するには法的な裏づけが必要なのでは」といった不安を強く感じるようになりました。
また、F様には兄弟が2人おり、将来の相続で不動産の分け方について揉めることのないよう、あらかじめ仕組みを整えておきたいという思いもありました。さらに、不動産の評価額が高いため、相続税の負担についても心配していました。
当初は銀行や不動産会社にも相談してみたそうですが、どの窓口でも「成年後見制度」や「生前贈与」といった部分的な提案しか得られず、全体の設計をしてもらえる専門家を探していました。そうした中で、「家族信託」という制度を知り、町田市で実績のある司法書士を探し始めたのがご相談のきっかけでした。
■当事務所からのご提案
ご相談を受けた際、まずF様が抱えていた課題は大きく3つありました。
1つ目は、お母様の財産管理を法的に安全な形で長男が担えるようにすること。
2つ目は、将来の相続時に兄弟間でトラブルが起きないように仕組みを整えること。
そして3つ目は、相続税の負担をできるだけ抑えることでした。
これらを同時に満たすために、当事務所では「家族信託」と「遺言書」を組み合わせた二段構えの設計をご提案しました。
まず、貸家や貸土地などの不動産については、信託契約を用いてお母様を“委託者兼受益者”、F様を“受託者”とする家族信託を設計しました。これにより、お母様の財産であることを維持しつつ、F様が家族を代表して管理・運用を行えるようになります。たとえお母様が将来的に判断能力を失っても、F様が継続して家賃の受け取りや修繕契約などを行えるようになり、いわゆる“資産凍結”のリスクを防ぐことができます。
次に、信託財産に含められなかった農地については、信託では扱えないという法的制限を踏まえ、遺言書による承継設計を併用しました。遺言内容では、兄弟間で公平感を損なわないよう配分を工夫し、相続時に誰がどの資産を引き継ぐのかを明確化しました。これにより、将来の相続手続きがスムーズになり、家族間での話し合いの負担も軽減できます。
さらに、税理士とも密に連携し、家族信託と遺言の双方を考慮した資産評価・税務上の最適化を行いました。具体的には、信託契約による課税関係を整理し、将来の相続税評価額を抑えられるような構成を検討しました。また、相続開始後の納税資金の確保方法についても、現金資産や賃貸収入をどのように活用すべきかをシミュレーションし、家族全体で共有しました。
契約書の作成段階では、公証役場との日程調整や文案確認も当事務所が一括で対応。初めての制度で不安を抱えていたF様とお母様にも、図解入りの説明資料を用いて丁寧にご案内しました。契約後には、信託登記の手続きまで一貫してサポートし、形式的・実務的な部分でも抜け漏れのない形を整えました。
結果として、F様は法的にも安心して管理業務を引き継ぐことができ、お母様も「これで子どもたちに迷惑をかけずに済む」と安心されたとのことです。
このように、家族信託は単なる契約書の作成ではなく、「家族全体の将来設計」を含めた仕組みづくりです。当事務所では、不動産・税務・相続を一体で考え、最も現実的で安心できるプランを提案しています。
■お客様の声
高齢の母だけでは貸家や土地の管理が難しくなっており、銀行や不動産会社にも相談してみましたが、どこも部分的な提案しかしてもらえず、どうしたら良いのか分からずにいました。そんな中でさえき事務所さんに相談したところ、家族信託という仕組みを丁寧に教えていただき、私が家族を代表して資産管理を行えるように全体を設計してくださいました。
信託契約の内容や登記、公証役場との調整まで一貫して対応していただき、初めての手続きでも安心して進めることができました。特に、信託に含められなかった農地についても遺言書を併用する形でしっかりと備えを整えてくださったのが印象的でした。税理士さんとも連携して相続税対策まで行っていただいたことで、将来の不安がほとんどなくなりました。
「母のために、そして家族のために、今のうちに準備ができて本当に良かった」と感じています。専門家にお願いしていなければ、きっと手続きの複雑さや判断の難しさで途中で諦めていたと思います。今後、同じような悩みを持つ方がいたら、ぜひ早めに相談をおすすめしたいです。