■事例の背景
S様は横浜市にお住まいの50代の男性。数年前にお父様を亡くされ、その際の相続登記が未了のままになっていました。さらに今回、お母様も亡くなられたことで、父母双方の遺産を整理しなければならない状況に。遺産は自宅不動産のほか、アパートや那須の土地、複数の預貯金・保険金など多岐にわたっていました。
相続人は長男・二男(S様)・三男・そして四男の子(代襲相続人)の4名。母の遺言書が自筆で残されていましたが、遺産規模が大きく相続税の申告も必要なため、遺言内容をそのまま実行してよいのか慎重な検討が求められました。
また、父の不動産持分をどのように承継するかによって、母の遺産総額や相続税の負担が変わることも判明し、兄弟間での話し合いは長引くことに。S様自身も「自分で進めるには複雑すぎる」「期限内に申告・登記まで終えられるか不安」と感じるようになり、相続の専門家を探し始めたそうです。
■当事務所からのご提案
S様のご相談内容は、「父母の数次相続」「代襲相続」「遺言書の検認」「相続税の申告」など、相続手続きの中でも非常に複雑な要素が重なったケースでした。相続登記だけでなく、税務上の配慮や相続人全員の合意形成まで見据えた包括的な対応が求められました。
まず当事務所では、全体像の整理とスケジュールの明確化から着手しました。父母双方の戸籍を収集し、相続関係説明図を作成。相続人全員を確定させたうえで、各遺産のリストアップと評価を行い、漏れのない「遺産目録」を作成しました。これにより、相続人間で「何がどれだけあるのか」を共有でき、話し合いの土台が整いました。
次に、母の自筆遺言書については、家庭裁判所での検認手続きを代行。遺言書の内容を踏まえつつ、税理士と連携して相続税のシミュレーションを実施しました。特に焦点となったのは、自宅不動産の父持分を「母→二男(S様)」の順に承継するか、または「父→二男」に直接相続させるかという点です。この違いにより相続税額が変動するため、複数パターンを比較し、最も税負担が軽く、かつ相続人全員が納得できる形をご提案しました。
さらに、小規模宅地等の特例を最大限に活用するため、自宅を二男であるS様が取得する方針を明確にし、登記・税務の両面から整合性を確保しました。また、遺言内容の一部変更を希望されていたため、相続人全員の同意を得るための協議書作成や調整も当事務所でサポート。税理士と連携しながら、登記申請・金融機関の解約・保険金の受取手続きなど、全ての相続関連手続きをワンストップで進行しました。
結果として、期限内に相続登記と相続税の申告を無事完了。遺産の種類や手続きが多い中でも、S様ご家族が安心して進められるよう、各段階で進捗を共有しながらサポートを行いました。S様からも「複雑な相続が一つずつ整理され、安心して任せられた」とお言葉をいただきました。
■お客様の声
父母の相続が重なり、数次相続や代襲相続もあって、正直どこから手をつけていいか分かりませんでした。遺産の数も多く、相続税の申告期限も迫っていたので、自分たちだけではとても間に合わなかったと思います。
司法書士法人さえき事務所さんには、戸籍の収集から遺言書の検認、登記、税理士さんとの連携まで、すべてを一括でサポートしていただきました。途中で疑問が出たときも丁寧に説明してくださり、手続きの流れがよく理解できたのも安心でした。
おかげさまで、期限内にすべての手続きを完了できました。今回のような複雑な相続では、やはり専門家の力を借りることが一番だと実感しました。まさに「餅は餅屋」だと思いました。