■事例の背景
Y様は相模原市にお住まいの70代の男性。長年ご夫婦で地域に根差した生活を送ってこられましたが、ご自身も奥様も高齢となり、将来への不安を感じるようになっていました。特に気がかりだったのが、障がいのある二男の存在です。現在はご夫婦で生活のサポートができているものの、「自分たちがいなくなったあと、この子の生活や財産管理を誰が支えるのか」という問題に、強い不安を抱いておられました。
また、近年は認知症による資産凍結のリスクも耳にするようになり、「いざという時に、家族が自分たちのために動けなくなるのは避けたい」と感じるようになったそうです。自宅不動産や預貯金の名義をどうするべきか、遺言や成年後見制度と何が違うのかといった点も分からず、まずは信頼できる専門家に相談したいと、相続・信託分野に強い司法書士法人さえき事務所へご相談くださいました。
■当事務所からのご提案
Y様ご家族のご相談は、「自分たちが認知症になったときや亡くなったあとの生活資金・財産管理を、長男が継続して行える仕組みを作りたい」というものでした。特に、障がいのある二男の生活支援を長期的に見守るためには、遺言や成年後見制度だけではカバーしきれない部分があるため、当事務所では受益者連続型の家族信託を提案しました。
まず、信託の基本設計として、委託者をY様、受託者を長男、受益者をY様本人とする信託契約を締結しました。信託財産には、自宅不動産および預貯金など主要な金融資産を設定。Y様が元気なうちは、長男が信託口座を通じて必要な支出を行いながら、Y様の生活を支えることができるようにしました。
次に、Y様の逝去後も管理を継続できるよう、第二受益者を奥様、第三受益者を二男とする受益者連続型の設計を採用。これにより、Y様亡き後は長男が奥様の生活費を信託財産から管理・支出し、その後は障がいのある二男の生活を経済的に支えることができます。形式的には「遺言のように受益権を承継させる」仕組みですが、信託であれば資産の凍結リスクを避けながら、長期的な管理が可能になります。
加えて、Y様ご夫婦の高齢化を考慮し、遺言書や任意後見契約との併用についても説明しました。家族信託は万能ではないため、医療や介護の契約など信託でカバーできない範囲は任意後見で補い、万全な生活支援体制を構築。これにより、財産管理と身上監護の両面で安心できる仕組みが整いました。
契約内容が複雑になりすぎないよう、打ち合わせでは信託の仕組みを図や具体例を用いて説明し、ご家族全員が納得できる形で契約を締結しました。登記や信託口座の開設など、信託実務に関する手続きも当事務所が一括して対応。契約後も定期的に状況確認を行い、信託が適切に運用されるようサポートを続けています。
結果として、Y様からは「家族の将来への不安が和らぎ、今は安心して毎日を過ごせるようになった」とのお言葉をいただきました。
■お客様の声
将来の不安が大きかった中、家族信託という方法で私たち家族の不安を解消してもらえました。自分たちが元気なうちはこれまでどおり生活でき、もし判断力が落ちたり亡くなったりしたあとも、長男が信託を通して妻や二男の生活を守ってくれる仕組みを作れたのは大きな安心です。
手続きの内容は複雑そうに思いましたが、さえき事務所さんが分かりやすく説明してくださり、納得したうえで進めることができました。信託の契約や登記、口座の準備などもすべてお任せできたので、手間もほとんどかかりませんでした。
長男には負担をかけることになりますが、今後もさえき事務所さんに見守っていただきながら支援を受けていきたいと思っています。家族にとって本当に安心できる仕組みを作れたと感じています。