■事例の背景
K様のお父様は町田市で長年土地を所有し、賃貸管理なども行ってこられた地主の方でした。しかし、末期がんが判明した際にはすでに体力が衰えており、ご本人もご家族も「せめて遺言書だけでも残したい」というお気持ちでした。司法書士法人さえき事務所では、K様からのご相談を受けてすぐにお父様のご自宅へ訪問しましたが、その時点ではすでに字を書くことも難しい状態で、遺言書の作成には至りませんでした。
その数日後、お父様はご逝去。さらに間をおかず、お母様も体調を崩され、ほどなくして亡くなられました。相次ぐご不幸により、K様は深い悲しみの中で相続手続きという現実的な課題に直面することになりました。
お二人とも離婚歴があり、それぞれに前妻・前夫との間にお子様(K様の異母・異父兄弟姉妹)が複数名いらっしゃいました。そのため、相続人の数は多く、遺産分割の調整は非常に複雑な状況でした。
K様は当初、インターネットで相続の進め方を調べたり、市役所の窓口に相談してみたりしたそうですが、戸籍の取り寄せや相続人調査の範囲が広く、自力では全体像を把握できませんでした。さらに、預貯金や不動産の名義が複数に分かれており、どの順序で手続きを進めるべきかも分からず、「どこから手をつけていいのか分からない」という状態に。
期限のある相続税の申告も迫る中で、「信頼できる専門家にお願いしなければ間に合わない」と感じたK様は、YouTubeで知った相続手続きに詳しい司法書士法人さえき事務所にご相談くださいました。
■当事務所からのご提案
今回のK様のケースでは、相続人が多数に及び、しかも相続税の申告期限(10か月)が迫っている状況でした。そのため、当事務所では「正確さ」と「スピード」を両立させることを最優先に、全体の工程を明確に整理したうえで対応を開始しました。
まずは、相続人と遺産の全体像を正確に把握するための「相続関係調査」から着手しました。お父様・お母様それぞれの出生から死亡までの戸籍をすべて収集し、異母・異父兄弟姉妹を含めた全相続人を確定。相続人が10名近くにのぼることが判明しました。同時に、不動産登記簿、公図、預貯金通帳、固定資産税の納付書などをもとに遺産の一覧表を作成。相続税が発生する可能性が高かったため、税理士と連携し、財産評価の方針を早期に確定させました。
次に課題となったのが「遺産分割協議」です。相続人同士は面識こそあったものの、これまで深く関わる機会は少なく、それぞれの思いや立場も異なりました。そのため、当事務所では感情的な対立を避けるために、全員が納得できる“法定割合を基本とした整理案”を提示。K様を中心に、数回にわたって家族会議の場に同席し、専門家として中立の立場から説明や意見の調整を行いました。法律的な根拠を丁寧に示しながら進めたことで、次第に合意形成が進み、最終的に全員一致での遺産分割協議書の作成に至りました。
その後は、相続登記や預貯金解約の手続き、相続税の申告準備を並行して実施。特に不動産が複数あったため、納税資金の確保が大きな課題でした。K様ご家族とも相談のうえ、不動産の一部を売却する方針を決定。当事務所が信頼する不動産会社を紹介し、権利関係の整理や登記の名義変更を円滑に進めることで、売却と納税資金の確保までを一貫してサポートしました。
結果として、相続税申告の期限にも十分間に合い、複雑な相続関係でありながらも、全員が納得した形で遺産整理を完了させることができました。K様からは「専門家が一つのチームのように連携して動いてくれたことで、心強かった」とのお言葉をいただきました。
本件のように、相続人が多い場合や遺言書がないケースでは、全体像を見える化し、法律・税務・不動産の各分野を横断的に調整することが非常に重要です。当事務所では、単なる登記手続きにとどまらず、「相続全体のコーディネート役」として、安心してお任せいただけるサポート体制を整えています。
■お客様の声
両親を続けて亡くし、悲しみの中で何から手をつけていいのか分からず途方に暮れていました。相続人の数も多く、書類の準備だけでも想像以上に大変で、自分たちではとても処理できない状況でした。
そんなとき、信頼できる方の紹介でさえき事務所さんを知り、相談して本当によかったと思っています。限られた期限の中で、司法書士の先生を中心に税理士さんや不動産会社とも連携して動いてくださり、複雑な相続手続きをスムーズに進めていただきました。
一つひとつの手続きの意味を丁寧に説明してもらえたので安心感があり、私たち家族の負担も最小限で済みました。今振り返ると、専門家のサポートなしでは到底間に合わなかったと思います。相続で悩んでいる方には、迷わず相談することをおすすめしたいです。