■事例の背景
M様は60代の女性で、相模原市にお住まいです。お母様が亡くなられた後、埼玉県にお住まいのお兄様が中心となって相続手続きを進めていました。相続財産には自宅不動産のほか、複数の預貯金口座や株式・投資信託などが含まれており、財産の種類も多岐にわたる状況でした。
当初はお兄様が地元の司法書士に依頼し、戸籍の収集や登記関係の準備が進んでいましたが、その司法書士が高齢で体調を崩されたため、手続きが途中で止まってしまいました。書類はそろっているものの、全体の進行状況が分からず、どのように再開すればよいのかも不明なまま、時間だけが過ぎていく状況でした。
また、お母様は生前から株式投資をされており、有価証券の評価額も大きく、相続税の申告が必要なケースでした。M様としては「手続きを途中から引き継げて、税理士とも連携しながら最後までサポートしてくれる専門家」を探す必要がありました。
不安を抱えていた中で、知人の税理士から「相続案件の対応が丁寧で、連携もスムーズ」と紹介されたのが司法書士法人さえき事務所でした。
M様は「これでようやく手続きが進められるかもしれない」と思い、当事務所にご相談くださいました。
■当事務所からのご提案
M様からご相談をいただいた段階では、相続人の調査や一部の書類収集は前任の司法書士が進めていましたが、手続きの全体像が不明瞭で、どの財産がどこまで確認されているのか整理がつかない状態でした。
また、お母様の遺産には株式や投資信託などの金融資産が多く含まれており、相続税の申告も見据えた総合的な対応が求められました。
そこで当事務所では、まず「現状の再整理」と「専門家連携」を軸に、次のような流れで進めました。
① 手続きの全体把握と前任事務所からの引き継ぎ
最初に、前任の司法書士が収集した戸籍・登記資料・財産関係の書類をすべて確認しました。
そのうえで、欠けている戸籍や不動産登記簿、金融機関の残高証明を再度取り寄せ、相続財産の全体像を整理。これにより、手続きの抜け漏れを防ぎ、正確な相続関係を把握することができました。
② 相続人調査・遺産目録の作成
次に、改めて相続人全員の戸籍を収集し、法的な相続関係を確定させました。
お母様の財産については、不動産・預貯金・株式・保険金などを一つずつ確認し、税理士事務所と情報共有しながら「遺産目録」を作成。財産の評価額を明確にしたうえで、税務面の負担を最小限に抑えるための協議準備を行いました。
③ 税理士事務所との連携による協議支援
本件では、相続税の申告期限も迫っていたため、税理士事務所と連携して遺産分割の方向性を早期に整理しました。
当事務所では、M様やお兄様を交えたミーティングを複数回実施し、「不動産を誰が相続するのか」「株式や預貯金をどのように分けるのか」といった具体的な分割内容を法律面・税務面の両側から検討。相続人全員が納得できる形で遺産分割協議をまとめました。
④ 相続手続きの一括代理
協議が成立した後は、当事務所にて不動産の相続登記、金融機関での相続手続き、株式の名義変更などをすべて代理して実施しました。
手続きが複数機関にまたがる場合でも、M様が個別に各所を回る必要がないよう、当事務所が窓口として一括で対応。完了後は、登記簿や払戻記録を含めた詳細な報告書を作成し、M様へお渡ししました。
⑤ 円滑な解決のポイント
今回のように「前任者からの引き継ぎ案件」では、資料の整理や進行状況の再確認が特に重要です。
また、相続税が関係する場合は、司法書士と税理士の連携が不可欠です。当事務所では、相続人・税理士・司法書士の三者が協力し、法務・税務の両面から最適な解決を実現しました。
最終的に、M様からは「途中で止まっていた手続きが無事に完了し、安心して一区切りつけることができた」とのお言葉をいただきました。
■お客様の声
母の相続手続きは兄が中心となって進めていましたが、依頼していた司法書士の先生が体調を崩され、途中で止まってしまいました。
どこまで進んでいるのかも分からず不安な中で、知人の税理士さんからさえき事務所さんをご紹介いただきました。
最初の打ち合わせの際に、手続きの全体像や今後の流れをとても丁寧に説明してくださり、担当の方の誠実なお人柄もあって「ここなら安心して任せられる」と感じました。
税理士の先生とも連携を取ってくださり、遺産の内容が多くてもスムーズに話が進みました。
途中で止まってしまった手続きを引き継いで、最後まできちんと完了させていただいたこと、本当に感謝しています。今振り返ると、自分たちだけではとても対応しきれなかったと思います。ありがとうございました。