■事例の背景
N様が当事務所にご相談に来られたのは、「相続人が多く、しかも外国人や未成年が含まれていて、どこから手をつければいいのか分からない」という状況でした。
亡くなられた被相続人(お父様)は日本人で、生前に二度の婚姻歴があり、前々妻・前妻との間にそれぞれの子どもが一人、そして後妻である外国人配偶者との間に二人の子どもがいるという構成でした。
N様は前妻にあたり、ご自身の子(未成年)が今回の相続人に該当していました。
しかし、他の相続人のうち二人は未成年かつ外国人。さらに、被相続人の死後は現地家族とほとんど連絡を取れておらず、「そもそも話が通じるのか」「日本の遺産をどう分ければよいのか」といった点が全く不明な状態でした。
また、国内外に相続人がいることで手続きの難易度が上がり、他の専門家に相談しても「外国人が絡むと手続きが複雑なので対応できない」と断られるケースが続いたそうです。
N様も「もうどうにもならないのでは」と半ばあきらめかけていました。
そんな中、YouTubeで「相続に強い司法書士」として情報発信している当事務所の動画をご覧になり、「ここなら話を聞いてもらえそう」と思ってご相談いただいたのが始まりでした。
■当事務所からのご提案
本件は、外国籍・未成年者を含む複雑な遺産相続であり、さらに相続人同士が国内外に分かれて居住しているという難易度の高いケースでした。
相続人は、N様の子、被相続人の再婚相手(配偶者)とその2人の子、そして前々妻との間に生まれた成人の子の合計4名という構成でした。
まず当事務所では、戸籍・婚姻関係・出生関係を正確に整理し、被相続人の相続関係を明確化することから着手しました。
国外に居住する相続人については、現地の法制度や家族関係証明書類の取得方法が異なるため、現地の弁護士と連携しながら書類の収集と認証手続きを並行して進める必要がありました。
次に、相続人の中に未成年者が含まれていたため、「法定代理人による代理」「利益相反の有無」について慎重な判断が求められました。
通常、未成年者とその親権者がどちらも相続人である場合には、利益相反が生じ、家庭裁判所で特別代理人の選任手続きが必要となります。
しかし、今回のケースでは、未成年の相続人とその親権者がともに「相続分を放棄・または譲渡する」意向を示しており、法的整理を行ったうえで利益相反の問題を回避する手法を採用しました。
また、相続人の意思確認を進める過程で、当事務所が全員との連絡窓口となり、各相続人の意向を逐一確認・調整。
それぞれの背景や考え方に違いがある中でも、相手の立場を尊重しつつ、感情的な対立が生じないよう慎重にコミュニケーションを図りました。
遺産の内容は、日本国内にある不動産2件、複数の預貯金口座、そして被相続人が保有していた会社の自社株式など多岐にわたりました。
これらの調査・評価・名義変更・登記申請などをすべて当事務所が一括して代理し、税理士・現地弁護士と連携しながら遺産分割協議書を作成しました。
結果として、全相続人の同意のもとで遺産分割協議が成立し、不動産の相続登記や金融機関の手続きもすべて完了。
ご相談当初は「話し合いができるのかすら分からない」と不安を抱えておられたN様も、「ようやく前に進めることができた」と安堵されたご様子でした。
今回のケースのように、国外に相続人がいる場合や、未成年者を含む場合には、法的・実務的なハードルが非常に高くなります。
しかし、法的枠組みを整理し、現地との連携を取りながら丁寧に進めることで、確実に解決へと導くことが可能です。
なお、今回の事例からも明らかなように、複雑な家族関係が想定される場合には、生前の段階で遺言書を作成しておくことが最善の備えとなります。
遺言があれば、今回のような手続き上の混乱を避け、家族の負担を大きく減らすことができます。
■お客様の声
相続人が多く、さらに未成年者も含まれる複雑な相続手続きだったため、どこに相談しても「対応が難しい」と言われ続け、半ばあきらめかけていました。そんな中で、さえき事務所さんが「大丈夫です、整理すれば必ず進められます」と言ってくださり、その一言で本当に救われました。
途中で現地の相続人とのやり取りや、書類のやりとりなど大変な場面もありましたが、全ての連絡調整や書類作成を事務所が代行してくださったので、私自身は最低限の対応だけで済みました。
複雑な内容にもかかわらず、感情面の配慮や法的な整合性まで丁寧に対応してくださり、安心してお任せできました。どこにも頼れず困っている方こそ、ぜひ相談してみてほしいです。