解決事例

CASE

[相続登記(不動産の相続)]

相続放棄後に兄弟間の共有名義まで整理し、実家を単独名義にした相続登記の事例【神奈川県相模原市】

兄が亡くなり、配偶者と子が相続放棄をしたことで、兄弟姉妹が相続人となった相続登記の事例です。相続財産には、複数の親族が持分を有する地方の実家や農地が含まれていました。相続放棄から遺産分割協議、相続登記、共有持分の放棄まで一貫して支援し、最終的にK様の単独名義へ集約しました。

クライアント概要

K様/神奈川県/70代/女性/兄弟姉妹間の相続/共有名義不動産・農地を含む相続登記

ご相談の背景・経緯

K様のお兄様が亡くなり、相続手続きが必要になったことが今回のご相談のきっかけでした。相続財産の中心は、地方にあるご実家を含む不動産でしたが、市場価値が高いとはいえず、管理や処分にも手間がかかる状態でした。そのため、お兄様の配偶者とお子様は相続放棄を選択し、次の順位にあたるK様を含む兄弟姉妹が相続人となりました。

K様にとって、この不動産は単なる価値の低い土地や建物ではなく、ご自身が育った実家でもありました。すぐに売却できる見込みはなくても、まずは自分が相続し、時間をかけて売却先や譲渡先を探していきたいというご希望がありました。

しかし、調査を進めると、対象不動産の数が多いだけでなく、一部は他の兄弟姉妹との共有名義となっていました。このままでは、将来売却や譲渡をする際に、その都度ほかの共有者の協力が必要になります。また、相続人や関係者も多く、戸籍や不動産資料の収集、遺産分割協議の取りまとめにも相当な負担が見込まれました。

そこで、相続放棄の手続きから相続人の確定、複数当事者による遺産分割協議、相続登記、さらに既存の共有持分の整理まで、全体を一つの流れとしてご依頼いただきました。

専門家のポイント解説

今回の事例で最も重要だったのは、相続放棄、相続登記、共有状態の解消を、それぞれ別々の手続きとして考えるのではなく、最終的にK様が不動産を単独で管理・処分できる状態から逆算して進めたことです。

まず、お兄様の配偶者とお子様が相続放棄をする段階では、家庭裁判所に申述書を提出すれば必ず終わるというものではありません。相続財産を処分したり、預貯金を使ったりすると、相続を承認したものと扱われる「みなし単純承認」に該当する可能性があります。そのため、相続放棄が受理されるまでは、何をしてよいのか、何を避けるべきなのかを整理し、慎重に進める必要があります。今回は初期の段階からご相談をいただけたため、相続放棄に影響する行為を避けながら、必要な資料の収集と申述手続きを進めることができました。

相続放棄が受理された後は、次の順位にあたる兄弟姉妹が相続人となります。しかし、兄弟姉妹が相続人になるケースでは、戸籍の収集範囲が広くなりやすい点に注意が必要です。亡くなった方の出生から死亡までの戸籍だけでなく、父母の戸籍や兄弟姉妹との関係が分かる資料まで確認しなければならないことがあります。さらに、今回は関係者と対象不動産の数が多く、古い戸籍や複数地域にまたがる不動産資料の収集にも相当な労力を要しました。

そのうえで、複数の相続人による遺産分割協議を行い、対象不動産をK様が相続する内容で合意をまとめ、相続登記を申請しました。ただし、ここで相続登記が完了しても、もともと他の兄弟姉妹が持っていた共有持分は残ります。将来、不動産を売却したり第三者へ譲渡したりする際、共有者が複数いると、全員の意思確認や署名、必要書類の準備が必要になり、手続きが進みにくくなることがあります。共有者が高齢になったり、認知症になったり、さらに相続が発生したりすると、関係者が増えて処分が一層難しくなる可能性もあります。

そこで今回は、相続登記だけで終わらせず、共有名義そのものを解消し、K様の単独名義に集約することまで見据えて対応しました。特に注意が必要だったのが、一部の不動産に農地が含まれていた点です。農地の持分を通常の贈与によって移転する場合、原則として農地法上の許可が必要となり、手続きや条件の確認が必要になります。

この点については、単純に贈与を選ぶのではなく、共有持分の放棄という方法を検討しました。共有持分を放棄すると、その持分は他の共有者に帰属します。今回の権利関係や当事者の意向を確認したうえで、この方法を用いることで、農地法上の許可を必要としない形で共有状態を解消できるように進めました。

相続登記は、名義を書き換えれば終わりではありません。特に、共有名義の不動産、農地、相続放棄、兄弟姉妹相続が重なる案件では、手続きの順番や使う制度を誤ると、余計な許可申請が必要になったり、将来の売却が難しくなったりすることがあります。目の前の登記だけでなく、その後に誰が管理し、どのように処分するのかまで考えて手続きを設計することが大切です。

今回、K様の単独名義に集約できたことで、今後は他の共有者の同意を得ることなく、売却先や譲渡先を探しやすい状態になりました。すぐに処分できない不動産であっても、将来動ける状態を先に整えておくことには大きな意味があります。

お客様の声

高齢の姉妹で、相続や登記についての知識もなく、難しい説明を理解できるか不安に感じていました。そのような私たちにも、手続きの流れや必要なことを一つひとつ丁寧に説明していただき、安心してお願いすることができました。

相続放棄だけでなく、その後の相続登記や共有名義の整理まで対応していただけたので、途中で別の専門家を探したり、自分たちで複雑な手続きを調べたりせずに済んだことも、とても助かりました。自分たちだけで進めていたら、必要な戸籍や書類をそろえるだけでも大変だったと思いますし、農地を含む不動産の共有状態をどのように解消すればよいのか分からないまま、手続きが止まっていたかもしれません。

また、手続きのことだけでなく、細かいところまで気遣っていただいたことにも感謝しています。私は初めて伺う場所まで車を運転することに不安がありましたが、帰る際には事務所の外まで出て、帰り道を案内してくださいました。おかげで安心して帰ることができました。

こちらの理解度や不安に合わせて丁寧に関わってくださる先生です。相続人が多い場合や、共有名義の不動産、農地などが含まれていて、どこから手を付ければよいか分からない方にもおすすめしたいと思います。本当にありがとうございました。

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