[遺言・後見・家族信託]
遺言書を勝手に開封するとどうなる?法律と正しい対処法を徹底解説
- 投稿:2025年05月28日
遺言書の取り扱いは、相続手続きにおいて極めて重要です。特に封印された遺言書を発見した際には、慎重な対応が求められます。本記事では、遺言書の種類や開封に関する法律、開封してしまった場合の対処法などを詳しく解説します。
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目次
遺言書の種類と開封のルール
遺言書には主に以下の3種類があり、それぞれ開封に関するルールが異なります。
1. 自筆証書遺言
遺言者が全文を自筆し、日付と署名・押印をした遺言書です。封印されている場合、家庭裁判所での検認手続きを経て開封する必要があります。
2. 公正証書遺言
公証人が遺言者の口述をもとに作成し、公証役場で原本を保管する遺言書です。封印されておらず、検認手続きも不要です。
3. 秘密証書遺言
遺言者が作成した遺言書を封印し、公証人がその存在を証明する形式です。封印されているため、開封には家庭裁判所での検認手続きが必要です。
封印された遺言書を勝手に開封することは、法律で禁止されています。民法第1004条第3項により、家庭裁判所での検認を経なければ開封できません。
遺言書を勝手に開封した場合の罰則と影響
封印された遺言書を家庭裁判所以外で開封すると、民法第1005条に基づき、5万円以下の過料が科される可能性があります。これは刑罰ではなく行政上の罰則であり、前科が付くことはありません。
開封したこと自体で遺言書が無効になるわけではなく、相続人の資格も失われませんが、他の相続人から偽造や改ざんを疑われ、相続トラブルに発展する可能性があります。
遺言書を誤って開封してしまった場合の対処法
誤って封印された遺言書を開封してしまった場合、以下の対応を速やかに行うことが重要です。
- 家庭裁判所への報告
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、遺言書を提出し、開封してしまった旨を報告します。 - 検認手続きの申立て
家庭裁判所での検認手続きを申立てます。必要書類として、遺言者の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本などが求められます。 - 他の相続人への説明
開封してしまった経緯を他の相続人に説明し、理解を得るよう努めます。
これらの対応を適切に行えば、大きな問題に発展することは少ないでしょう。不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。
検認手続きの流れ
検認手続きは以下のように進行します。
- 申立て
家庭裁判所に検認の申立てを行います。申立てには、遺言書、申立書、必要な戸籍謄本、収入印紙800円分、連絡用の郵便切手などが必要です。 - 検認期日の通知
家庭裁判所から検認期日が通知されます。相続人全員に通知されますが、出席は任意です。 - 検認期日
家庭裁判所で、裁判官が遺言書を開封し、内容や形式を確認します。この手続きは、遺言書の偽造や変造を防ぐためのものであり、遺言の有効性を判断するものではありません。 - 検認済証明書の申請
検認後、遺言書に検認済証明書を添付してもらうための申請を行います。これにより、遺産分割や相続登記などの手続きが円滑に進められます。
まとめ
遺言書、特に封印されたものを発見した場合は、決して勝手に開封せず、速やかに家庭裁判所での検認手続きを行うことが重要です。誤って開封してしまった場合でも、適切な対応を取れば大きな問題にはなりません。相続トラブルを防ぐためにも、法律に則った手続きを心掛けましょう。