司法書士法人さえき事務所の代表司法書士。
相続関係の手続きを中心に、生前対策(遺言・家族信託など)、不動産や会社法人登記の業務を行っています。情報や知識を知らないがゆえに損をすることの無いように、情報発信を通じて、司法書士という存在が皆様のお役に立てることを世間に広め、不幸になる人を一人でも減らしたいと願っています。
[相続]
自力で相続登記を行う際に注意すべきトラブルとは?
- 投稿:2024年08月22日
相続登記を自力で行うことはもちろん可能ですが、その過程で注意すべき点がいくつかあります。
今回は、相続登記を自分で進める際に直面する可能性のあるトラブルについて、具体的に解説します。
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目次
自力で相続登記をする場合に注意する点
1. 時間と労力
相続登記は一見簡単そうに見えるかもしれませんが、実際には多くの時間と労力が必要です。登記申請書の雛形や手順はインターネットや書籍で確認できますが、それでも多くの人が法務局へ事前相談に行くことになります。
特に、仕事が忙しい方は、自分の時間価値(時給)と司法書士に依頼するコストを比較し、自力で行うべきか慎重に判断することが重要です。
頑張って自力で途中まで手続きをしたけど、結局やり切れなくて司法書士に依頼したという方も多くいます。
2. 登記漏れ
相続登記の際には、不動産の特定が非常に重要です。素人が行うと、非課税の土地や共有状態の土地、または登記されていない建物などを見逃すことがあります。例えば、私道(道路)や古いマンションの共用部分などは見落とされることが多いです。
これらの漏れを防ぐために、権利証、固定資産税の納税通知書、名寄帳、公図、共同担保目録など不動産に関係する資料を慎重に確認することが求められます。
3. 遺産分割協議書の作成ミス
遺産分割協議書の作成には、特に注意が必要です。例えば、換価分割を行う場合、売却後の代金を相続人に分配する旨を明記しなければ、贈与とみなされる可能性があります。また、遺産分割協議のやり直しは、一度特定の相続人に帰属した所有権が別の相続人へ移転するため、贈与税がかかるリスクもあります。
他にも、相続人間の関係性があまり良くないケースで、遺産分割協議のやり直しがきかないようなケースもあります。
遺産分割協議書の作成には細心の注意を払いましょう。
4. 相続人に関するトラブル
不動産を相続する人を決める際には、相続税や居住権についても考慮する必要があります。例えば、相続税に関する特例や居住権の問題が関わってくる場合、慎重に相続人を決定しなければ、後に大きなトラブルになる可能性があります。また、売却が絡む場合には、スケジュールや税金面でも注意が必要です。
5. 数次相続と特例の適用
数次相続(複数の相続が連続して発生するケース)では、手続きの順序や登記の方法によって税金や手数料が異なります。特例を適用できるかどうかも確認が必要です。例えば、100万円以下の土地の免税制度など、知識が不足していると損をする可能性があるため、しっかりと確認しましょう。
6. 補正手続きの手間
登記の申請に不備がある場合、法務局から補正を求められますが、この補正手続きはオンラインや電話で行うことができず、窓口まで行かなければなりません。特に、遠方に不動産がある場合や土日祝日しかお休みがない場合には平日に休みと取って対応しなければなりませんので、時間と手間が大きくかかることになります。
まとめ
自力で相続登記を行うことは可能ですが、多くの時間と労力を要し、さまざまなトラブルに直面する可能性があります。これらのリスクを回避するためには、慎重に手続きを進めることが重要ですが司法書士に依頼していただくとこういったお悩みから解放されることになります。
相続登記に関する相談やサポートが必要な場合は、専門家への依頼を検討してください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。