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こんな遺言書は書くな!実務で見てきた「最悪の失敗ランキング」5選を司法書士が解説

  • 投稿:2026年03月23日
こんな遺言書は書くな!実務で見てきた「最悪の失敗ランキング」5選を司法書士が解説

「遺言書を書いたから安心」──そう思っていませんか?実は、せっかく遺言書を作成しても、書き方の失敗によって使い物にならなくなってしまうケースが驚くほど多いのです。
家庭裁判所の統計によると、2023年の遺言書検認件数は22,314件、公正証書遺言作成件数は118,981件に上り、遺言書への関心は年々高まっています。しかし、その一方で内容の解釈が分かれてトラブルの火種になったり、形式的なミスで法的に無効になってしまう遺言書も後を絶ちません。
この記事では、司法書士として現場で見てきた「こんな遺言書は書くな!」という失敗事例を、ワースト順にランキング形式で紹介します。特に第1位は取り返しのつかない致命的なミスです。これから遺言書作成を検討している方、既に作成済みの方もぜひ最後までお読みください。

【この記事でわかること】
● 実務で多発する遺言書の失敗パターン5つ(具体例付き)
● 文章の解釈が分かれてトラブルになる書き方
● 不動産の特定が曖昧で登記できない事例
● 形式不備で無効になる最も多いミス
● 失敗を防ぐための正しい書き方のポイント

※動画でも解説していますので是非ご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします!!

第5位:文章の解釈が分かれる遺言書

まず第5位は、日本語の解釈によって意味が変わってしまう遺言書です。以下の実例をご覧ください。

【失敗例】
「不動産及び現金預金を除く一切の財産を○○に相続させる」

この文章の問題点は、「及び」の位置です。この書き方だと2つの解釈が可能になってしまいます。

  • 解釈①:不動産と現金預金を除く財産(動産など)を相続させる
  • 解釈②:不動産も含め、現金預金のみを除く財産を相続させる

実際にこの遺言書で相続登記を申請しようとしたところ、法務局から「どちらの意味か特定できない」として受理されませんでした。結局、相続人全員で上申書を作成してようやく手続きが完了したケースがありました。

読点や「及び」の位置ひとつで意味が変わる可能性がある場合は、より明確な表現に修正が必要です。

第4位:現在の財産状況を前提にした遺言書

第4位は、遺言作成時点の財産状況をそのまま前提として書いてしまう遺言書です。

【失敗例】
「A銀行の預金は妻に、B銀行の預金は長男に相続させる」

この書き方の問題点は、将来の変化に対応できないことです。

  • A銀行の口座を解約してしまった場合
  • B銀行の残高がほとんどなくなった場合
  • 新しい金融機関に預金を移した場合

こうした状況になると、遺言書に書かれた内容が意図した効果を発揮しなくなります。

【改善策】特定の金融機関を指定するのではなく、「預貯金の50%を妻に、50%を長男に」といった割合での指定や、「妻に○○万円以上、残りは長男に」といった金額指定の方が実用的です。

第3位:「託す」「任せる」で終わっている遺言書

第3位は、具体的な結論を書かずに判断を委ねる表現で終わっている遺言書です。

【失敗例】
「相続については全て長男に託す」
「財産の処分は妻に任せる」

この書き方が失敗な理由:

  • 誰が何を取得するのかが明確でない
  • 結局、遺産分割協議が必要になってしまう
  • 「託す」「任せる」が管理委任なのか財産贈与なのか不明

遺言書は判断を委ねる文書ではなく、結論を明確に示す文書です。基本的な表現としては「相続させる」または「遺贈する」を使用してください。なお、「相続させる」は遺贈もカバーするため、汎用性が高く推奨されます。

第2位:不動産の書き方が雑すぎる遺言書

第2位は、不動産の特定があいまいで登記手続きができない遺言書です。

【失敗例】
「自宅は妻に相続させる」

この書き方の問題点:

  • 「自宅」がどの不動産を指すのか特定できない
  • 法務局の登記官が見ても対象不動産が分からない
  • 登記簿と一致しないため、相続登記ができない

不動産の相続登記では、登記簿謄本に記載されている通りの正確な表示が必要です。家族の中では「自宅」で通じても、第三者(法務局)には通用しません。

【住所表示も危険】住居表示(例:町田市○○8丁目11番30号)で書く方もいますが、これは登記簿上の地番表記とは異なります。住居表示には道路部分が含まれるかどうかなどの曖昧さもあります。

【正しい書き方】登記簿謄本を取得し、そこに記載されている所在・地番・面積・建物番号などを正確に転記してください。不動産の特定は極めて重要です。

第1位:形式ミスで最初から無効な遺言書

そして堂々の第1位は、形式的な要件を満たしていない自筆証書遺言です。これは最も多く、最ももったいない失敗パターンです。

自筆証書遺言(民法第968条)の要件は以下の4つです。

  1. 全文を自筆で書く(財産目録を除く)
  2. 日付を明記する
  3. 署名をする
  4. 押印をする

よくある形式ミス:

  • 日付が「令和6年3月吉日」など特定されていない
  • 日付が「令和6年3月」で日まで書かれていない
  • パソコンで作成してしまった
  • 署名が姓だけまたは名だけでフルネームでない
  • 押印が漏れている

これらの要件を1つでも満たさないと、どれだけ心を込めて書いた内容でも法的に無効になります。単なる「お手紙」扱いとなり、相続手続きでは全く使えません。

【重要】公正証書遺言であればこうした形式ミスは起こりませんが、自筆証書遺言を選択する場合は要件を必ず確認してください。

遺言書をめぐる現状とデータ

遺言書の重要性は高まっているものの、適切に作成されていないケースも多いのが実情です。

項目件数備考
公正証書遺言作成件数(2023年)118,981件前年比増加傾向
遺言書検認件数(2023年)22,314件自筆証書遺言等
法務局保管制度利用(2022年)16,954件2020年開始制度
遺言書作成経験者(60-79歳)3.5%まだ普及途上

興味深いのは、検認件数が過去10年で約1.34倍に増加していることです。これは遺言書を作成する人が増えている証拠でもありますが、同時に不適切な遺言書も増えていることを示唆しています。

遺言書の失敗を防ぐための5つのポイント

  • 曖昧な表現を避け、具体的で明確な文章にする
  • 特定の金融機関名ではなく、割合や金額で指定する
  • 「託す」「任せる」ではなく「相続させる」「遺贈する」を使う
  • 不動産は登記簿謄本の通りに正確に記載する
  • 自筆証書遺言の形式要件(全文自筆・日付・署名・押印)を必ず満たす

これらのポイントを守ることで、遺言書の効力が争われるリスクを大幅に減らすことができます。

まとめ:確実に思いが届く遺言書を作るために

【本記事のポイントまとめ】
① 遺言書の失敗は「解釈が分かれる文章」「現状前提の内容」「曖昧な表現」「不動産の特定不備」「形式要件違反」の5パターンが多い
② 特に形式要件違反は遺言書そのものを無効にする致命的ミス
③ 不動産は「自宅」「住所」ではなく登記簿謄本通りの正確な記載が必要
④ 検認件数は増加傾向にあるが、不適切な遺言書も多いのが現状
⑤ 専門家のチェックを受けることで失敗リスクを回避できる

せっかく家族への思いを込めて遺言書を書くのであれば、確実に効力を発揮するものにしたいものです。「なんとなく」ではなく、法的に有効で明確な内容になるよう注意深く作成してください。

自分の遺言書の内容に不安がある方、これから作成を検討している方は、司法書士などの専門家に相談されることをお勧めします。小さなミスが大きなトラブルの原因になることを防げます。

【参考法令・資料】

・民法第968条(自筆証書遺言)

・民法第1004条(遺言書の検認)

・家事事件手続法第201条(検認申立て)

・日本公証人連合会「令和5年の遺言公正証書の作成件数について」

・裁判所「令和5年司法統計年報(家事編)」

・法務省民事局「遺言書保管制度の利用状況」

・生命保険文化センター「遺言・遺贈に関する調査」

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