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遺言書を貸金庫に入れたら詰みます!相続人が絶望する理由を司法書士が解説

  • 投稿:2026年03月23日
遺言書を貸金庫に入れたら詰みます!相続人が絶望する理由を司法書士が解説

「大切な遺言書だから貸金庫に保管しよう」——そう考える方は意外と多いのですが、実はこれが相続手続きを困難にする大きな落とし穴なのです。先日、SNSで「遺言書を貸金庫に保管するのを未然に防ぐことができました。そもそも貸金庫を開けるために遺言書が必要になるので、良い子のみんなは遺言書を貸金庫に保管するのをやめよう」という投稿をしたところ、2,920リツイートを超える大きな反響がありました。これほど多くの方に共感していただいたということは、貸金庫での遺言書保管がいかに「危険だと知らずにやってしまいがち」な行為であることを物語っています。この記事では、なぜ貸金庫での遺言書保管が「詰む」のか、そして正しい保管方法について詳しく解説します。

【この記事でわかること】
● なぜ貸金庫での遺言書保管が危険なのか
● 貸金庫を開ける際の実際の手続きと問題点
● 「車のインロック状態」になる致命的な矛盾
● 法務局保管制度と公正証書遺言の活用法
● 遺言執行者がいても解決できない理由

※動画でも解説していますので是非ご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします!!

一見安全に思える貸金庫の落とし穴

確かに貸金庫は物理的には安全です。銀行で厳重に管理され、盗難リスクも低く、家族にも見られません。本人しか開けられないため、プライバシーも守られます。

しかし、問題は「相続発生後に開ける時」にあります。

生前は本人が自由に開けられますが、相続が発生した後は相続人が貸金庫を開けなければなりません。ここで大きな壁が立ちはだかります。

相続人が貸金庫を開ける方法の原則

相続発生後に銀行の貸金庫を開けるための原則的な要件は以下の通りです。

【必要な手続き】

● 相続人全員の同意

● 相続人全員の戸籍謄本

● 相続人全員の印鑑証明書

● 銀行指定の書類

つまり、相続人が1人でも協力しなければ開けることができません

相続人同士が揉めているケースや、疎遠な相続人がいるような場合、貸金庫は開けられなくなってしまいます。

例外的な措置:公証人の立会い

相続人の数が多い場合や、揉めていて開けられない場合、行方不明の相続人がいる場合などには、例外的に「公証人の立会い」という制度が利用できることもあります。

しかし、これは例外的な措置であり、以下のようなデメリットがあります。

● 手間と時間がかかる

● 公証人との日程調整が大変

● 公証人への費用が発生する

● 銀行ごとに運用の差がある

● 担当者レベルで話が通じないこともある

決してスムーズとは言えない手続きです。

致命的な矛盾:車のインロック状態

ここで最も深刻な問題が発生します。遺言書が貸金庫の中にあると、以下のような「車のインロック状態」に陥ります。

【矛盾の流れ】

  1. 銀行:「貸金庫を開けるには相続人全員の同意が必要です」
  2. 相続人:「遺言書があるので、遺言執行者が開けられるはずです」
  3. 銀行:「では、その遺言書を提示してください」
  4. 相続人:「遺言書は貸金庫の中に入っています」
  5. 銀行:「それでは開けられません」

これはまさに、車を開けるには鍵が必要だが、その鍵が車の中に閉じ込められている状況と同じです。

遺言執行者がいても解決できない理由

遺言書の中で遺言執行者が指定されている場合、原則として遺言執行者単独で貸金庫を開けることが可能です。これは民法の規定で、遺言執行者に広い管理処分権限が与えられているためです。

しかし、遺言書を取り出せないと遺言執行者の存在も証明できません。遺言執行者は遺言の中で定められた人なので、遺言書がなければその存在が証明できないのです。

これが本末転倒の状況を生み出します。

正しい遺言書の保管方法

では、どのように遺言書を保管するのが正解でしょうか。主に2つの方法をお勧めします。

1. 法務局の遺言書保管制度(自筆証書遺言の場合)

2020年から開始された比較的新しい制度です。

【制度の特徴】

●遺言書の原本を法務局が保管

●家庭裁判所での検認手続きが不要

●相続人等が単独で閲覧請求可能

●遺言者死亡後、遺言執行者や相続人が単独で遺言書の写しを取得可能

● この写しで登記手続きや貸金庫の手続きが可能

●物理的リスクもゼロで実務的に非常に優秀 ● コストもほとんどかからない(数千円程度)

自筆証書遺言を作成する場合は、この制度の利用を強く推奨します。

2. 公正証書遺言

公正証書遺言もお勧めの方法です。

【公正証書遺言の利点】

● 公証役場で原本が保管される

● 再発行が可能

● 仮に手元の公正証書遺言を貸金庫に入れてしまっても、公証役場で再発行してもらえる

● その再発行された遺言書で手続きが可能

なぜ貸金庫に入れたくなるのか

多くの方が貸金庫に遺言書を保管したくなる理由は理解できます。

● 家族に勝手に見られたくない

● できるだけ安全な場所に保管したい

● 重要な書類は貸金庫という固定観念

こうした思考が働くのは自然なことです。だからこそ、先ほどのSNS投稿がこれだけ多くの方に共感されたのでしょう。

時代に合った保管方法を選択する

しかし、法務局の自筆証書遺言保管制度や公正証書遺言といった選択肢が充実している現在、「重要なものは何でも貸金庫」という発想は少し古くなってきています。

すでに遺言書を作成されている方で貸金庫に保管している場合は、できるだけ避けて、代わりに法務局の保管制度や公正証書遺言を選択されることをお勧めします。

また、ご自身の親などに遺言書を書いてもらう立場の方は、貸金庫での保管を避けるよう案内してください。

実務家としての結論

司法書士として現場で見てきた結論は、遺言書はできるだけ安全で確実に取り出せて、手続きが止まらない場所に置くということです。

貸金庫は確かに安全かもしれませんが、相続手続きの中では機能しない可能性があります。遺言書は使われて初めて意味がある文書ですから、この点を十分に考慮する必要があります。

今日のポイントまとめ

【重要なポイント】

● 貸金庫は原則、相続人全員でないと開けることができない

● 公証人の立会いという例外があるが手間が大きい

● 遺言執行者がいても遺言書を取り出せなければ意味がない

● 車のインロック状態と同じ構造になってしまう

● 自筆遺言なら法務局の保管制度を活用

● 公正証書遺言なら公証役場で保管されるので再発行可能

● 貸金庫での保管は避けた方が良い

まとめ

遺言書の保管について、物理的な安全性だけでなく、実際の相続手続きでの使いやすさまで考慮することが重要です。せっかく家族のために書いた遺言書が、保管場所の選択ミスで使えなくなってしまっては本末転倒です。

法務局の遺言書保管制度や公正証書遺言といった現代的な保管方法を活用し、確実に効力を発揮する遺言書にしていきましょう。

「良い子のみんなは遺言書を貸金庫に入れるのはやめましょう」——これを合言葉に、適切な遺言書保管を心がけてください。


【参考法令・資料】

・民法第1006条以下(遺言執行者の権限)

・遺言書等の保管に関する法律(法務局保管制度)

・公証人法(公正証書遺言の作成・保管)

・法務省民事局「遺言書保管制度の利用状況」

・日本公証人連合会「公正証書遺言の活用」

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