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相続のプロが教える不動産の遺産分割テクニック②代償分割について

  • 投稿:2024年08月30日
  • 更新:2024年09月19日
相続のプロが教える不動産の遺産分割テクニック②代償分割について

前回に引き続き、相続のプロである、さえき事務所が不動産の相続でよくあるお悩みについてプロの視点からの解決策をご提案します。

今回のテーマは相続時に発生する税金について。

遺産分割のやり方によって課税される税金が変わることがありますが、場合によってはかなりの差額となる可能性も出てきます。少しでも課税される税金を抑えるためのポイントについて解説していきますので是非ご一読ください。

※動画でも解説していますので是非ご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします!!

事例

被相続人A(父)

相続人B(長男):父と同居

相続人C(次男):父と別居

Aさんが死亡し、5,000万円の資産価値のある自宅不動産(Aさん・Bさんは同居)が相続対象となりました。

不動産の購入時価格は2,000万円です。もし、この不動産を売却した場合は3,000万円の売却益が出ることになります(※建物の減価償却や諸経費については計算を分かりやすくするために事例では検討しません)。

この3,000万円の売却益に対して譲渡所得税が課税することになります。

BさんとCさんは遺産を平等に分けるため、話し合いの結果、自宅不動産を売却し、現金化して半分に分ける方法をとることにしました。

そこで、こういったケースにおいて、譲渡所得税を軽減するためのテクニックについて解説していきたいと思います。

法定相続分で登記し、売却した場合

まず、特別なことを一切行わず法定相続分(Bさん2分の1・Cさん2分の1)で登記した後、売却するケースについて解説します。

自宅不動産はBさんとCさん共有名義となり、5,000万円で売却した後に共有持分どおりで分けると、各2,500万円の現金を得ることになります。

問題は、このやり方で売却した場合に発生する譲渡所得税です。売却益が3,000万円で、共有持分割合は2分の1ずつなので、BさんCさんの課税対象となる金額はそれぞれ1,500万円です。

今回の事例では自宅不動産に同居していたBさんには居住用の不動産を売却した場合に売却益から最大3,000万円を控除できる特別な制度が適用できることがあります。この特別控除が適用できた場合、Bさんに課税される1,500万円は完全にこの控除額内に収まるため、譲渡所得税は課税されないことになります。

一方で、同居していなかったCさんはこの控除が適用されないため、売却益1,500万円に対して約20%(※長年家族が住んでいた家なので「長期譲渡」と考えます)の課税を受け、300万円程度の税金が発生してしまいます。

なお、今回は特別な手続きを行わず法定相続分で登記したことを前提に解説していますが、テクニック①で解説した「代表相続人」を設定し換価分割を行った場合においても結論は変わりません。

代償分割を使った場合

今回のようなケースにおいて代償分割という遺産分割の方法を使うことによってBさん、Cさん両方の譲渡所得税を非課税にすることができる場合があります。

代償分割とは、対象となる遺産の分割にあたって特定の相続人(複数の場合も含む)が遺産を相続する代わりに、遺産を取得しない相続人に対してその対価を支払うような遺産分割方法です。

例えば、「Bさんが不動産を相続する代わりにCさんに2,500万円支払う」といった形です。

このような代償分割をした場合、Bさんは譲渡益3,000万円に対して先ほどご紹介した特別控除枠3,000万円を満額適用できるため譲渡所得税は発生しないことになります。

一方のCさんは代償分割として現金2,500万円を受け取っていますが、不動産の売主にはなっていない(あくまでBさんから代償金として2,500万円を受け取っただけ)ため、譲渡所得税の課税対象になりません。

つまり、代償分割を活用し、譲渡益をBさんの控除枠の中に全て入れ込んでしまうことによってBさん、Cさんともに譲渡所得税を支払わないことができるのです。

代償分割の注意点

今回のような特定の相続人が売却益に関して特別控除を利用できる場合などは代償分割を使うことによって、全体で発生する税金を大きく軽減することが可能です。

ただし、代償分割を行うにあたってはいくつか注意点があります。

相続人の間の関係性

代償分割を行うためには、代償金の支払いがきちんと履行されることが大前提です。

こういったお金のやり取りがスムーズに行われるためには相続人の間の関係性も重要となってきます。兄弟といえ、きちんと約束を果たしてくれる信用できる人でないと、不動産の名義だけ取られて代償金の支払いをしてもらえないなんてことも考えられます。

もちろん、遺産分割協議書に代償分割の旨を記載しているので、訴訟を起こせば代償金の支払いを請求することはできますが、相手方に資力がなければせっかく判決をとっても絵に描いた餅になってしまいます。

代償金の支払いについて心配なのであれば、遺産分割協議書に署名押印する時に支払ってもらったり、共有名義に相続登記してから売却する方が安全です。

遺産分割協議書に代償分割であることを明記する

代償分割を取ることで譲渡所得税を軽減したり、事例のようにゼロにできる場合がありますが、このような形を取る場合は遺産分割協議書に代償分割である旨を明記しておくことが重要です。

代償分割であることを明記しないと、BさんからCさんに支払われた2,500万円が「贈与」とみなされる可能性があります。

2,500万円が贈与として課税対象になると、譲渡所得税約300万円を節税したのが全く無意味になるほどの贈与税が課税されてしまうため、くれぐれもご注意ください。

最後に

事例のように、特定の相続人が税金の控除を受けられる場合、その相続人に不動産を相続させ、他の相続人は代償金を受け取る代償分割を行えば大きな節税を実現できる場合があります。

本来発生するはずであった税金を合法的に軽減できる可能性があるため、このような事例に該当する場合は選択肢の一つとして検討されてみてはいかがでしょうか?

司法書士法人さえき事務所では、相続登記から相続した不動産の売却まで一気通貫でしっかりとサポートさせていただきます。相続不動産の売却でお悩みの方は是非一度無料相談へお申し込みください。

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