[相続]
数次相続と空き家の3000万円特別控除に関する重要ポイント
- 投稿:2025年01月27日

相続した不動産を売却する際に、税金を軽減できる「空き家の3000万円特別控除」という制度があります。しかし、特に数次相続の場合、この控除が適用できるかどうかは登記のやり方によって変わります。本記事では、数次相続が発生した場合の適切な登記方法と、この控除を適用するためのポイントを解説します。
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目次
空き家の3000万円特別控除とは?
空き家の3000万円特別控除とは、相続または遺贈により取得した一人暮らしの被相続人の住居を、相続から3年以内(正確には、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること)に売却する場合、譲渡所得から最大3000万円を控除できる制度です。ただし、令和6年1月1日以降、相続人が3人以上いる場合は、1人当たりの控除額が2000万円に引き下げられています。
この控除により、例えば1000万円で取得した不動産を3000万円で売却した場合、本来ならば2000万円の利益に課税される譲渡所得税が、控除によって課税対象外になる可能性があります。
空き家の3000万円特別控除の適用条件
- 相続開始から3年以内に売却
- 相続が発生した年の12月31日から3年以内に売却する必要があります。
- 被相続人が一人暮らしをしていた住居であること
- 亡くなる前に老人ホームなどに入居していた場合も、一定条件を満たせば適用可能です。
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
- 耐震基準を満たしているか、解体済みの土地であることも条件となります。
- 相続後に継続して空き家であること
- 相続後に賃貸などで使用していないことが求められます。
- 譲渡価格が1億円以下であること
- 親族や同族会社への売却でないこと
- 土地と建物の両方を相続していること
- 土地のみ、建物のみの相続では適用されません。
数次相続とは?
数次相続とは、相続登記を行う前に、さらに相続が発生することを指します。例えば、
- 令和5年10月10日:父が亡くなる
- 令和6年11月10日:母が亡くなる
- 相続人は長男と次男の2人
上記のようなケースを数次相続といいます。
この場合、父の名義の家が空き家になり、最終的に長男と次男が相続することになります。
数次相続における登記の3つの方法
このケースでは、登記の方法が3つ考えられます。
方法1:父 → 亡母・長男・次男(共有名義) → 長男・次男(共有名義)
- まず、父の名義を亡母、長男、次男の共有名義に変更
- 次に、亡母の名義部分を長男・次男に変更し、最終的に長男・次男の共有名義に
✅ 空き家の3000万円特別控除が適用可能(ただし、母が50%を相続した場合、その部分のみ控除対象)
方法2:父 → 長男・次男(共有名義)
- 父の名義から母を飛ばして直接長男・次男の共有名義に
❌ 空き家の3000万円特別控除は適用不可
- 父が亡くなった時点で、母が存命であったため「一人暮らしの被相続人」要件を満たさない
方法3:父 → 亡母 → 長男・次男(共有名義)
- 父の名義を一度亡母の名義に変更
- その後、亡母から長男・次男に相続登記
✅ 最適な方法!空き家の3000万円特別控除が100%適用可能
なぜ母を経由する登記が必要なのか?
空き家の3000万円特別控除の適用には、「一人暮らしだった被相続人から相続する」ことが要件です。そのため、母を経由せずに父から直接相続すると、父死亡時には母が存命のため、父は一人暮らしではないため適用が受けられなくなるのです。母死亡時には母は一人暮らしであったため独居の要件を満たすのです。
登記コストと控除額の比較
登記方法 | 登録免許税 | 控除額 |
---|---|---|
方法1 | 高い | 一部適用 |
方法2 | 最安 | 適用不可 |
方法3 | やや高い | 最大6000万円控除 |
登記コストだけを考えると方法2が最も安いですが、特別控除を適用できる方法3を選ぶ方が、最終的な税負担を大幅に減らせる可能性があります。
まとめ
数次相続の場合、登記のやり方によって空き家の3000万円特別控除が適用できるかどうかが決まります。最も適切な方法は、父→亡母→長男・次男の順で登記することです。登記のコストを抑えたい気持ちはわかりますが、税金の控除を最大限受けるために、適切な登記手続きを選ぶことが重要です。
相続や不動産売却に関する専門知識が必要な場合は、税理士や司法書士に相談し、損をしない手続きを進めましょう。