[不動産(売買以外)]
【保存版】離婚後の住宅ローン付き自宅の名義変更方法|具体的な事例と対処法を解説
- 投稿:2025年04月07日

今回は「離婚後の住宅ローンが残っている自宅の名義変更」について、実際によくあるご相談をもとに、具体的な事例とその対応方法を詳しく解説していきます。
離婚に伴って自宅の名義を変更したいというケースは非常に多く、当事務所でもよくご相談をいただきます。とくに、住宅ローンがまだ残っている場合は注意が必要で、手続きや対応方法を間違えると後々トラブルにつながる恐れもあります。
本記事では、住宅ローンが残っている状態での自宅の名義変更方法を3つのパターンに分けて解説します。
※動画でも解説していますので是非ご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします!!
目次
【事例】離婚後、自宅に妻と子どもが住み続けるケース
まずは、よくある具体的な事例からご紹介します。
事例:
夫と妻が離婚。自宅の名義は夫で、住宅ローンも夫名義で残っている。
離婚後は、妻と子どもがその自宅に住み続ける予定で、妻から「名義を私に変更してほしい」と求められている。
このようなケースで問題になるのは、以下の3点です。
- 現状では妻と子どもに法的な居住権がない
- 元夫が勝手に売却したり、差し押さえにあうリスクがある
- 住宅ローンが夫名義のままだと、返済が滞った場合に住めなくなる可能性がある
したがって、安心して住み続けるためには、妻への名義変更とローンの債務者変更が重要です。
方法①:財産分与による名義変更+債務引受
一番多く使われる方法がこちらです。
▼ポイント
- 離婚時に「財産分与」として自宅の所有権を夫から妻に移す
- 同時に、住宅ローンの債務者も夫から妻に変更する(免責的債務引受)
▼メリット
- 財産分与であれば、贈与税や不動産取得税が課税されない
▼注意点
この手続きには、銀行の承諾が必須です。
多くの場合、ローン契約には「勝手に所有権を移してはいけない」との条項があり、銀行の事前承認が必要です。
さらに、妻が新たに債務者となるためには、銀行による収入や信用情報の審査に通る必要があります。これが通らない場合は、次の方法も検討する必要があります。
方法②:妻が住宅を買い取って新規ローンを組む(売買方式)
こちらは、財産分与ではなく「売買契約」によって名義変更を行う方法です。
▼具体的な流れ
- 妻が自宅を買い取る形で夫と売買契約を締結
- 妻が新規の住宅ローンを組んで資金を調達
- その資金で夫の住宅ローンを完済(抵当権解除)
- 妻の名義に所有権を移転し、妻名義のローンで返済開始
▼メリット
- 売買なので銀行の承諾は不要
- 財産分与の方法のようなローンの債務者変更が不要
▼デメリット・注意点
- 妻が住宅ローンを新規で組める必要がある(審査必須)
妻に十分な返済能力があり、新しいローンを組めるのであれば、こちらの方法の方が現実的という場合もあります。
方法③:売却して新生活をスタート
もし妻にローンを引き受ける力がない場合や、銀行の承諾が得られない場合には、最終的な選択肢として「自宅の売却」を検討する必要があります。
▼売却の2パターン
- アンダーローンの場合: 売却後にローン完済、手元に資金が残る
- オーバーローンの場合: 売却してもローンが残るため、売却自体が難しくなる
オーバーローン状態であれば、現状維持(夫名義のまま妻が住み続ける)しか選択肢がない場合もありますが、リスクを抱える状態が続くことになります。
その他のケース:ペアローンや共有名義の場合
今回の事例では「夫単独名義」でしたが、実際にはペアローンや夫婦共有名義というケースも少なくありません。
このような場合も基本的な考え方は同じですが、ローン契約が複雑になるため、さらに専門的な調整が必要です。
離婚後の名義変更は専門家への相談を!
今回ご紹介した3つの方法は、あくまで一例です。実際には、
- 住宅ローンの残債務
- 自宅の評価額
- 妻の収入状況
- 銀行の対応方針
などによって、取るべき手続きが大きく異なります。
「離婚後、自宅をどうするか」で悩まれている方は、まずは司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
方法 | 特徴 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
財産分与+債務引受 | 離婚に伴う名義変更 | 贈与税・不動産取得税が非課税 | 銀行の承諾が必要 |
売買+新規ローン | 妻が住宅を買い取る | 銀行の承諾が不要 | 妻のローン審査通過が必須 |
売却 | 自宅を売却して精算 | 資金確保して新生活 | ローン残債務に注意 |