[遺言・後見・家族信託]
【家族信託の活用例】障害のある子に安心して財産を残す方法とは?
- 投稿:2025年05月02日

今回は、「障害のある子に財産を残したい」とお考えのご家庭に向けて、具体的な解決策をご紹介します。実際、ご相談の多いテーマであり、適切な対策を取ることで、ご家族の安心な生活を守ることが可能です。
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目次
事例紹介:障害のある長女に財産を残したい
◆ 家族構成と背景
登場人物は、母、長女(障害あり)、次女の三人家族。父はすでに他界しており、現在は母と長女が実家で同居しています。長女は障害を抱えており、母と次女は長女の将来に大きな不安を抱えています。
財産を残すための選択肢
まず第一に考えられるのは「遺言書」です。遺言書を活用すれば、長女に特定の財産を残すことができます。幸い次女も姉の生活を心配しており、遺留分の請求など遺産相続に異論を唱える可能性は低いと考えられます。
しかし、障害のある長女が一人で財産を管理するのは困難な場合もあります。ここで検討したいのが「家族信託」の活用です。
家族信託とは?その仕組みとメリット
家族信託とは、財産を持つ人(委託者)が信頼できる人(受託者)に財産を託し、その財産を特定の人(受益者)のために管理・運用してもらう制度です。
◆ 今回のケースでの家族信託の活用方法
- 委託者(財産の持ち主):母
- 受託者(財産を管理する人):次女
- 受益者(利益を受ける人):
- 第一受益者:母(母の生存中は母が財産の利益を受ける)
- 第二受益者:長女(母の死後、長女が利益を受ける)
◆ 信託財産の内容
- 実家(不動産)
- 金融資産(預貯金など)
信託終了後の財産の帰属先として、次女を設定しておくことも可能です。
家族信託の具体的なメリット
1. 長女の生活の安定
母が亡くなった後も、次女が信託財産を管理することで、長女の生活を支えることができます。実家の維持や生活費の管理を長女自身で行う必要がないため、大きな安心に繋がります。
2. 認知症対策にも有効
母が将来的に認知症を発症した場合でも、すでに信託契約があれば、次女が母に代わって財産を管理・活用できます。これにより、介護や生活費の支払いが滞るリスクを軽減できます。
家族信託のデメリットとその対策
最大のデメリットは、受託者(次女)の負担が大きいことです。長女の生活支援に加え、財産の管理・運用まで行う必要があるため、時間的・精神的に大きな負担を背負うことになります。
次女が自身の家庭を持ち、小さな子どもがいる場合などは特に注意が必要です。
代替案:成年後見制度の活用
家族信託が難しい場合や、途中で限界を感じた場合は、「成年後見制度」の利用も選択肢です。家庭裁判所が後見人を選任し、財産管理や身上保護を担う制度で、司法書士や弁護士などの専門職後見人が選ばれるケースもあります。
司法書士や弁護士に支払う費用はかかりますが、家族の負担を軽減し、専門的な支援を受けることができます。
柔軟な対応が大切
最初は家族信託を活用し、万が一途中で難しい場合には成年後見制度に切り替えるといった、柔軟な対応が求められます。大切なのは、家族が無理なく支え合える仕組みを整えることです。
まとめ:家族信託で安心の未来を
障害のある子に財産を残すには、「家族信託」が非常に有効な手段です。ただし、その運用には家族の協力と一定の負担が伴います。信託の設計や将来的な選択肢も含めて、専門家と相談しながら準備することが重要です。
この記事が「障害のあるお子さんの将来を考えるご家族」にとって、少しでも参考になれば幸いです。信頼できる司法書士とともに、安心できる未来を築いていきましょう。