[相続]
【2025年4月開始】相続の預貯金口座を“まとめて探せる”新制度|口座管理法(付番)と相続時口座照会を司法書士が徹底解説
- 投稿:2026年02月09日
2025年4月1日開始の「口座管理法(預貯金口座付番制度)」と「相続時口座照会制度」を解説。相続で故人の銀行口座をまとめて調べる方法、手数料(5,060円)、期限(10年)や注意点まで。
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目次
はじめに:相続の“銀行口座探し”はなぜ大変なのか
相続手続きで多くの方がつまずくのが、故人(被相続人)の預貯金口座が「どこの金融機関にあるか分からない」問題です。
従来は、通帳・キャッシュカード・郵送物・ノベルティ等から当たりをつけ、銀行ごとに窓口へ行って照会し、残高証明書等を取得する必要がありました。
金融機関が複数あると、往復回数も書類も増え、時間・労力が膨大になりがちです。
この負担を軽減するために、2025年4月1日から制度が拡充されたのが、いわゆる「口座管理法(預貯金口座付番制度)」と、それを活用する「相続時口座照会制度」です。
2025年4月1日から何が変わった?(結論)
ポイントはシンプルです。
- 生前に:マイナンバーと金融機関口座を“任意”で紐づけ(付番)しておく
- 相続発生後に:その“付番済み口座”について、一括で所在照会できる仕組みが動く
これにより、相続人が「片っ端から銀行を回る」負担が減り、漏れも減らせる可能性が出てきます。
口座管理法(預貯金口座付番制度)とは
デジタル庁が案内しているとおり、2025年4月1日から、マイナンバーと金融機関の預貯金口座を紐づける“付番制度”が拡充されました。
付番(ひも付け)は「任意」
ここは誤解されやすいのですが、金融機関へのマイナンバー届出(付番)は本人の意思に基づく任意です。
「国に残高が筒抜けになる?」→そうではない
デジタル庁は、付番をきっかけに国や自治体に預貯金残高が自動的に伝わることはないと明示しています。
(※制度の趣旨は“口座の所在把握の利便性向上”であり、残高・取引明細が自動共有される仕組みではありません。)
相続時口座照会制度とは(相続発生後に使う制度)
相続時口座照会制度は、相続人(包括受遺者を含む)が、被相続人名義の「付番済み預貯金口座」について、複数金融機関をまとめて照会できる仕組みです。実務上は、受付窓口になっている金融機関に申請し、預金保険機構(DICJ)側の手続を経て結果が通知される流れになります。
大まかな手続の流れ(イメージ)
- 相続人が金融機関窓口で申請(相続時口座照会の依頼)
- 預金保険機構(DICJ)が付番情報にもとづき照会手続を進める
- 照会結果が郵送で届く
※金融機関サイトでも、申込受付事務は預金保険機構が金融機関に委託している旨、結果通知の考え方が案内されています。
手数料はいくら?いつかかる?
相続時口座照会の手数料は、1件あたり5,060円(税込)が金融機関一律として案内されています。
そして重要なのが、
- 口座が見つからない場合でも返金されない(申込受付後は返却不可等の取扱い)
という点です。申請のタイミングや、他の探索手段との組み合わせが実務上のカギになります。
期限がある:原則「死亡から10年以内」
制度上、照会できる情報には期間制限があり、一般に案内されている注意点として死亡後10年以内が原則とされています(各金融機関・案内資料の記載に従って運用)。
相続が長期化しやすい案件(疎遠、相続人多数、遺産分割が難航等)ほど、早めに“所在の把握”だけ先行させる価値があります。
「全部の口座が出る」は保証されない(重要な落とし穴)
相続時口座照会で対象になるのは、原則として被相続人のマイナンバーが登録(付番)されている口座です。
つまり、被相続人が生前に付番していなかった口座は、照会に引っかからない可能性があります。
また、案内上は対象外となる金融機関(特定金融機関等)がある旨も触れられています(詳細はデジタル庁の案内で確認)。
相続手続きが“ラクになる”のは、結局ここ
この新制度の実務的メリットは次の2点に集約されます。
- 相続人の探索コスト(銀行回り・照会の手間)を減らせる
- 「知らなかった口座」の漏れを減らせる可能性がある(※付番済み口座に限る)
相続人の負担を減らすという意味では、制度の恩恵を最大化するのは“生前の付番”です。
【生前対策】今すぐできる:口座の付番(ひも付け)方法
マイナポータルFAQでも、付番申請は (1)マイナポータル または (2)金融機関 でできると案内されています。
1)金融機関窓口で手続する
普段使う銀行(メインバンク等)の窓口で、マイナンバー届出(付番)を行う方法です。
オンラインに不慣れな方でも取りやすいルートです。
2)マイナポータルでオンライン手続
マイナポータルから申請する場合、FAQでは「さがす」で「金融機関へのマイナンバーの届出申請」を検索して手続できる旨が説明されています。
よくある誤解(Q&A)
Q1. 付番すると、国に残高や取引履歴が全部見える?
A. そのような仕組みではありません。
デジタル庁は、付番をきっかけに国や自治体へ預貯金残高が伝わることはないと案内しています。
Q2. 相続時口座照会をすれば「全口座が100%判明」する?
A. 付番済み口座が前提です。
被相続人が付番していない口座は対象外になり得ます。
Q3. 手数料5,060円は、口座が見つからなくても払う?
A. 原則、必要です(返金不可の取扱い)。
司法書士としての実務アドバイス(運用のコツ)
- 相続が起きたら早めに“口座の所在把握”だけ先に進める(遺産分割がまとまっていなくても、所在把握は別物)
- 相続時口座照会は便利ですが、付番の有無に左右されるため、
- 通帳・郵便物・スマホの銀行アプリ
- 年金振込・公共料金引落
- 確定申告資料・医療費控除の口座履歴
など従来の探索も並走させるのが安全です。
- 生前対策としては、家族に「口座の棚卸し(どこに何があるか)」を共有し、可能なら付番まで済ませておくと、相続人の負担が劇的に減ります。
まとめ:相続の“預貯金口座探し”は、2025年4月から戦い方が変わった
- 2025年4月1日から、預貯金口座付番制度等が拡充
- 生前に付番(任意)しておくと、相続時に口座の所在把握がしやすくなる
- 相続時口座照会は手数料5,060円(税込)で、結果は郵送通知等
- ただし、対象は原則付番済み口座。万能ではない
「知らない口座があるかも…」という不安がある方ほど、早めに制度を理解して、相続の実務をラクにしておくのがおすすめです。
当事務所へのご相談
相続の預貯金調査は、手順を間違えると二度手間になりがちです。
当事務所では、相続手続の全体設計(戸籍収集〜遺産整理・相続登記まで)を踏まえたうえで、相続時口座照会の使いどころや、付番されていない口座の探索方法も含めて実務的にサポートしています。
「口座がどこにあるか分からない」「銀行を回る時間が取れない」という場合は、お気軽にご相談ください。