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2025年4月から始まる登記の新ルール:何が変わるのか?
- 投稿:2025年01月29日

2025年4月21日に施行される新しい登記ルールについてご紹介します。この新制度は、登記に関する手続きを大きく変えるものであり、特に住所・氏名変更登記の義務化や、登記申請時の新たな情報提供の義務が含まれています。本記事では、これらの変更点について詳しく解説し、どのような影響があるのかを考察していきます。
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目次
住所・氏名変更登記の義務化(2026年4月1日より)
まず前提として知っておくべきなのは、2026年4月1日から施行される「住所・氏名変更登記の義務化」です。この制度の目的は、所有者不明土地問題の解消にあります。
現行制度では、登記情報が古くなったまま放置されることが多く、現在の所有者がいったい誰なのか、どこにいるのかなど不動産の適切な管理が困難になっていました。そのため、新たな制度では、登記上の住所や氏名に変更があった場合、2年以内に変更登記をしなければならず、怠ると5万円以下の過料が科されることになります。これは、2024年に義務化された相続登記と同様の措置となります。
住所・氏名変更登記の自動反映(職権変更)
氏名はともかく、住所は引っ越し等によって変更されることが多いため、登記の義務化によって過料の制裁があるのは国民に対して過度な負担を強いることと考えられます。そのため、新制度では、登記上の所有者(所有権登記名義人)が登記変更の負担を軽減できるよう、法務局が自動で変更を反映する「職権変更」の仕組みが導入されます。

※法務省HPより
職権変更の仕組み
所有者が事前に一定の情報(検索用情報)を法務局に提供しておけば、法務局が定期的に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に照会し、所有権登記名義人の住所や氏名の変更情報を取得し、自動で登記情報を更新してもらうことが可能になります。
事前の情報提供が必要
この職権変更を利用するには、事前に法務局へ「検索用情報」を提供する必要があります。この情報提供制度が2025年4月21日から始まります。
2025年4月21日から始まる「検索用情報」の提供義務
2025年4月21日から、所有権移転登記や保存登記などいわば不動産の権利をゲットするような一定の登記申請時に「検索用情報」の提供が義務付けられます。
検索用情報とは?
検索用情報には、以下の5つの情報が含まれます。
- 氏名(従来から提供していた)
- 氏名のフリガナ(新たに追加)
- 住所(従来から提供していた)
- 生年月日(新たに追加)
- メールアドレス(新たに追加)
- メールアドレスのフリガナ(!?)
このうち、氏名のフリガナ、生年月日、メールアドレスが新しく追加される項目です。
メールアドレスのフリガナが必要!?

※法務省HPより
この制度の中でも特に注目されているのが、メールアドレスのフリガナの記載義務です。
このルールが発表された際、多くの専門家の間で疑問の声が上がりました。
メールアドレスのフリガナは本当に必要?
現在の登記申請はほとんどがオンラインやパソコン作成の文書で行われるため、手書きの誤読を防ぐためのフリガナの必要性はほぼありません。それにも関わらず、メールアドレスのフリガナまで記載しなければならないというルールは、多くの実務家から「時代錯誤ではないか」と批判されてました。
そこで、当初はオンライン申請でもメールアドレスのフリガナを記載する運用になっていたところ、発表から数日してから手書きで作成した申請書に限ってメールアドレスのフリガナが必要というルールに変更されることになりました。
当然と言えば当然の変更だと思います。
メールアドレスの提供義務とは?
フリガナ問題は解消されましたが、メールアドレスはなぜ提供を求められるのでしょうか。
メールアドレスの提供が求められる理由は、職権変更の際に法務局から登記名義人へ変更確認の通知を送るためです。
ただし、現在はメールよりもLINEや他のチャットアプリの方が一般的な連絡手段として普及しています。また、高齢者の中にはメールアドレスを持っていない人も多いため、実際の運用には課題が残ります。
メールアドレスを持っていない場合は?
メールアドレスを持っていない場合は、登記名義人の住所へ書面で通知が送られる予定です。ただし、これも確定事項ではなく、詳細は今後の発表を待つ必要があります。
既存の不動産所有者への影響
2025年4月21日以降、新規に不動産を取得する人は、登記申請時に検索用情報を提供しなければなりませんが、すでに不動産を持っている人はどうなるのでしょうか?
この点について、法務省は「2025年4月21日以降、既存の登記名義人もウェブ上で検索用情報を提供できるようにする予定」としています。ただし、この仕組みもまだ確定していないため、続報を待つ必要があります。
まとめ
2025年4月21日から登記手続きが大きく変わります。
- 2025年4月21日:所有権移転登記などを行う際、氏名のフリガナ、生年月日、メールアドレス(およびメールアドレスのフリガナ)の提供が義務化される。
- 2025年4月21日以降:既存の不動産所有者もウェブ上で検索用情報を提供できるようになる予定。
- 2026年4月1日:住所・氏名変更登記が義務化され、2年以内に変更登記をしないと5万円以下の過料が科される。
- 職権変更制度の導入:検索用情報を提供していれば、住所・氏名の変更を法務局が自動で反映できるようになる。
新ルールは、多くの実務家から疑問視されている部分も多いのが現状です。今後、より合理的な運用に改善されることを期待したいところです。