[遺言・後見・家族信託]
家族信託による不動産の管理方法とは?登記や名義変更の注意点を徹底解説!
- 投稿:2025年03月28日

今回は「家族信託における不動産の管理方法」について、具体的な方法も交えてわかりやすく解説していきます。
動画もあわせてご覧いただくと、より理解が深まりますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
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目次
家族信託とは?不動産信託の基本
家族信託は、財産を信頼できる家族(受託者)に託して管理・運用してもらう仕組みです。不動産でも現金でも信託することが可能で、被相続人の認知症や判断能力低下に備える手段としても注目されています。
家族信託契約を締結すると、受託者は、信託された財産と自分個人の財産を分別して管理する必要があります。これは法律上の義務であり、金銭であれば専用口座で管理、不動産であれば登記することによって区別することになります。
家族信託で不動産を管理するには登記が必要!
不動産を家族信託する場合、その所有権を委託者から受託者に移す登記が必要です。このときの登記原因は「信託」となり、通常の売買や相続とは異なります。
登記簿の記載例
例えば、次のようなケースを想定します。
- 委託者兼受益者:山田父郎さん(不動産の所有者)
- 受託者:山田子太郎さん(父郎さんの息子)
この場合、登記簿には以下のように記載されます。
- 【順位番号1】山田父郎(所有者)…過去に売買で取得
- 【順位番号2】山田子太郎(受託者)…信託により所有権移転
注目すべきは、子太郎さんの名義に変わった際にも、「受託者」と明記されており、単なる生前贈与ではないことが明確になっている点です。
信託目録の内容と重要性
不動産を信託すると、登記簿には「信託目録」が追加されます。これは、信託内容を明文化したもので、以下の4点が必ず記載されます。
- 委託者に関する事項
- 受託者に関する事項
- 受益者に関する事項
- 信託条項(目的・管理方法・終了事由など)
信託目録の役割とは?
たとえば、受託者が不動産を第三者に売却する際、相手方は「本当にこの人に売る権限があるのか?」と疑問に思うことがあります。
そんなとき、信託目録を見ることで、その不動産の管理や売却に関する受託者の権限が明記されており、安心して取引を進めることができます。
ただし、信託目録にはすべての契約条項が記載されているわけではありません。詳細な契約内容を確認したい場合は、信託契約書の提示を求めることをおすすめします。
名義が変わっても贈与ではない!税金の注意点
信託登記により不動産の名義が受託者に変わっても、それは単なる「管理のための名義変更」です。贈与とは異なるため、以下のような税金も課税されません。
- 贈与税
- 不動産取得税
ただし、これはあくまで委託者と受益者が同一人物の場合に限ります。たとえば、受益者を配偶者など委託者と別の人に設定した場合は、委託者と受益者が異なるため、贈与税や不動産取得税が課税対象になりますので注意が必要です。
遺言との関係:信託財産には効力が及ばない?
信託した不動産は、本人固有の財産ではなくなるため、遺言の効力が及ばなくなります。
つまり、委託者が遺言で「この不動産を〇〇に相続させる」と記していても、その不動産が信託財産である限り、その遺言は無効になります。
ですから、信託契約書の中に「信託終了後、この不動産を誰に帰属させるのか」まできちんと記載しておく必要があります。
まとめ:家族信託を活用した不動産管理は正しい登記と理解がカギ
家族信託は、将来の相続対策や認知症対策として非常に有効な制度ですが、登記内容や信託目録の構成を正しく理解しなければ誤解やトラブルの元になります。
特に以下のポイントはしっかり押さえておきましょう:
- 信託による所有権移転は贈与ではない
- 信託目録には管理方法や受託者の権限が明記される
- 遺言での指示が信託財産に適用されない可能性がある
正しい知識と理解のもと、家族信託を安心して活用していきましょう!