[相続]
【不動産オーナー必見】賃借人が残した家財・残地物の処理方法とは?相続放棄や独居高齢者のケースを徹底解説
- 投稿:2025年04月17日

近年、賃貸物件のオーナーや不動産管理会社が直面する悩みの一つが、「賃借人が退去後に残した家財(残地物)の処理」です。特に、独居高齢者の死亡後に相続人が不在または相続放棄をした場合、部屋の中に残された家具や家電などの残置物をどのように処理すればよいのか、大きな問題となります。
今回は、司法書士の視点から、残地物処理における法的対応と、事前にできる対策方法について、分かりやすく解説していきます。
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目次
賃借人死亡後に残された家財の扱いとは?
よくある相談事例
- 独居の高齢者が亡くなったが、相続人が見つからない
- 相続人はいるが、全員が相続を放棄している
- 部屋に残された家財道具や日用品が処分できない
このような場合、オーナーや管理会社としては、「残された物を勝手に処分してもよいのか?」という疑問や不安を抱えることになります。
相続人不在時にとるべき法的対応
相続財産管理人(相続財産清算人)の選任手続き
相続人がいない、または全員が相続放棄をした場合、残された家財や契約関係などの後処理をする必要があります。その際に必要となるのが、「相続財産管理人(相続財産清算人)」の選任申立てです。
手続きの概要:
- 申立先:家庭裁判所
- 申立権者:利害関係人(オーナーなど)
- 必要書類:戸籍謄本一式、申立書、財産目録など
- 費用:数十万円~100万円以上の場合も
※この費用は、選任される管理人(多くは弁護士)の報酬に充てられます。
なぜ費用が高額になるのか?
相続財産清算人は、法律に基づいて残置物の処分や契約解除などを行いますが、無償ではなく「業務報酬」が発生します。そのため、申立て時に一定額の「予納金」を裁判所に納めなければならず、これが費用負担の大きな要因になります。
勝手な処分はリスク大!法的トラブルに注意
「手間やコストがかかるなら、勝手に処分してしまおう」と考える方もいるかもしれません。しかし、それは非常に危険です。
民事上のリスク
- 残置物に価値がある場合、損害賠償請求を受ける可能性
刑事上のリスク
- 勝手な処分は、器物損壊罪などに問われる可能性も
いずれのリスクも、後々大きなトラブルにつながることがあるため、正式な手続きを経て処分することが原則となります。
事前の対策が鍵!「死後事務委任契約」の活用
上記のようなトラブルを避けるためには、事前に対策を講じておくことが非常に重要です。
死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは、本人が死亡した後に発生する手続きをあらかじめ信頼できる代理人に委任する契約です。具体的には、以下のような業務を代理人に任せることができます:
- 賃貸借契約の解除
- 残置物の処分
- 公共料金の精算
- 葬儀手続きなど
契約の方法と注意点
- 契約書の作成は、司法書士や行政書士に依頼するのが一般的
- 国土交通省の「モデル契約条項」も参考に
- 代理人には、専門知識のある司法書士などを選任するのがおすすめ
👉【参考リンク】
国土交通省「残置物の処分等に関するモデル契約条項」
高齢者との賃貸契約をスムーズにするために
近年、高齢者の単身入居は年々増加しています。しかし、上記のような問題から、「貸したくない」と感じるオーナーも少なくありません。そこで、死後事務委任契約を事前に締結することで、双方にとって安心できる環境を整えることができます。
オーナーのメリット
- 法的に安心して残置物を処分できる
- トラブル回避につながる
- 管理の効率化
借主のメリット
- 入居のハードルが下がる
- 自分の死後の処理をきちんと任せられる
- 安心して老後を迎えられる
実務対応におけるサポート体制も活用しよう
「相続財産清算人の選任」や「死後事務委任契約」の締結には、法律の専門知識が必要となるため、以下のような専門家の活用がおすすめです:
- 司法書士
- 弁護士
- 行政書士
また、契約書の雛形や支援制度なども整備されてきており、事前準備がしやすくなっています。
まとめ|残置物処理の法的対応と予防策を理解しよう
✅ 相続人がいない場合は、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てる
✅ 勝手な処分は民事・刑事上のリスクがあるためNG
✅ 事前に「死後事務委任契約」を結ぶことで、安心・安全な賃貸運営が可能になる
今後も増加が見込まれる高齢単身者との賃貸契約に備え、ぜひ今回の情報を活かしてください。必要に応じて、法律の専門家への相談も検討しましょう。
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