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【2026年民法改正】成年後見制度と遺言はどう変わる?司法書士がわかりやすく解説

  • 投稿:2026年07月08日
【2026年民法改正】成年後見制度と遺言はどう変わる?司法書士がわかりやすく解説

2026年6月、成年後見制度と遺言制度を大きく見直す改正民法が国会で成立しました。「後見・保佐の廃止」「パソコンで作れる遺言」など、私たちの暮らしに直結する変更が含まれています。この記事では、司法書士法人さえき事務所が、改正のポイントを法律の専門家でない方にもわかりやすく解説します。
※重要:改正法は成立しただけで、まだ施行されていません。施行は公布から2年6か月以内とされており、現時点では現行のルールに従う必要があります。

この記事でわかること

・成年後見制度が「補助」に一本化される理由と影響
・途中でやめられる後見制度になるって本当?
・パソコンで作成できる新しい遺言「保管証書遺言」とは
・自筆証書遺言の押印が不要になる件

※動画でも解説していますので是非ご覧ください。チャンネル登録もよろしくお願いします!!

第1部:成年後見制度の改正ポイント

現行制度の問題点

現在の成年後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型があります。特に「後見」は成年後見人に広い代理権・取消権が与えられるため、本人ができることまで一律に制限されやすいという問題がありました。

さらに、一度利用を始めると判断能力が回復しない限り原則として本人が亡くなるまで終了できません。司法書士や弁護士などの専門職が後見人に選ばれると報酬が長期間発生し続けることもあり、「使いにくい」「やめられない」という声が制度の利用をためらわせる原因になっていました。

改正ポイント① 「後見」「保佐」を廃止し「補助」に一本化

3類型のうち後見・保佐が廃止され、制度は「補助」に一本化されます。

現行制度では「あなたは後見」「あなたは保佐」と先に大きな枠を決め、後見なら包括的にすべてを任せる仕組みでした。改正後は、本人が何に困っているかを見て、必要な権限だけを個別に設定します。

例えば次のような形です。

  • 遺産分割協議ができないので、その部分だけ補助人に代理権を設定する
  • 不動産の売却、預貯金の管理、施設との契約など、行為ごとに代理権・同意権を設定する

できることは本人に任せ、できない部分だけ補助人が支援する——オーダーメイド型の制度に変わります。

改正ポイント② 必要がなくなれば途中で終了できる

改正後は、支援の必要がなくなった場合、家庭裁判所が補助の審判を取り消せるようになります。

  • 遺産分割協議が終わった
  • 不動産の売却が完了した
  • 家族や福祉関係者の支援体制が整った

こうした場合に制度を終了できる可能性があります。ただし「最初から1年間だけ」のように自由に期間を設定できるわけではなく、終了するかどうかはあくまで家庭裁判所が判断します。それでも「事実上、亡くなるまで続く」現行制度からは大きな転換です。

改正ポイント③ 重度の方には「特定補助人」

後見類型を廃止すると、意思表示がまったくできない重度の認知症の方などをどう守るのかという問題が出てきます。そこで新設されるのが特定補助人です。

家庭裁判所が特に強い保護が必要と判断した場合に選任され、法律で定められた重要な財産行為について取消権などが与えられます。

比較項目現行の成年後見人新制度の特定補助人
取消権の基本的な対象日常生活行為を除く原則すべての法律行為法律で定めた重要行為(不動産売買など)
裁判所による取消権の追加原則不要(もともと包括的)法定範囲以外は家庭裁判所が特定して追加
範囲の縮小個別に縮小する仕組みは基本的にない不要になれば審判の全部・一部を取り消せる
日常生活行為(コンビニでの買い物など)取消し不可取消し不可

現行の後見が「包括的・画一的」なのに対し、新制度は「必要に応じた限定的・可変的」な設計です。本人の自己決定権を尊重しながら、消費者被害などを防ぐ仕組みといえます。

改正ポイント④ 補助人を交代させやすくなる

現行法では、本人や家族と後見人の相性が悪いという理由だけでは交代は認められにくいのが実情です。改正後は「本人の利益のために特に必要があるとき」に交代(解任等)が可能になります。

  • 不動産売却の間だけ専門職に依頼し、その後の生活支援は親族が引き継ぐ
  • 遺産分割が終わったら専門職から身近な支援者へ交代する

こうした柔軟な運用が期待でき、ご家族の心理的な負担も軽くなるはずです。

改正ポイント⑤ 本人の意思を確認する義務の明確化

補助人には、本人の心身の状態に応じた方法で意向を把握することが求められます。「本人のためだから」と支援者が一方的に決める制度ではなく、本人がどんな生活を望んでいるかの確認が重視されます。

改正ポイント⑥ 任意後見制度も使いやすく

任意後見は、元気なうちに将来の支援者を自分で決めておく制度です。現行法では、本人の判断能力が低下したときに任意後見監督人の選任が必須で、監督人(多くは司法書士・弁護士)への報酬が本人の財産から発生していました。

改正後は、監督の必要が明らかにない場合は監督人を選任しないことが可能になり、報酬負担が減る可能性があります。

また、現行では法定後見が始まると任意後見契約は終了しますが、改正でこの終了規定が削除され、法定後見(補助)と任意後見の併用が状況に応じてできるようになります。


第2部:遺言制度の改正ポイント

現行制度の問題点

自筆証書遺言は、原則として本文をすべて手書きする必要があり(財産目録のみパソコン作成可)、高齢の方や手が不自由な方には大きな負担でした。署名に加えて押印も必要で、形式を間違えると遺言全体が無効になるリスク、紛失・隠匿・改ざんのリスクもありました。

改正ポイント① 「保管証書遺言」の創設 — パソコンで作れる遺言

パソコン等で作成した遺言書を電子データとして法務局に保管する新しい方式「保管証書遺言」が創設されます。遺言者が法務局に出向き、遺言書保管官が本人確認・意思確認を行ったうえで保管する仕組みです。

メリット

  • 長い文章をすべて手書きする必要がない
  • 高齢の方や手が不自由な方の負担を軽減できる
  • 法務局で保管されるため紛失・改ざんを防ぎやすい
  • 遺言の存在を相続人に発見してもらいやすい(通知の仕組みあり)

注意点

  • 自宅でパソコン入力して保存するだけでは有効な遺言になりません
  • メールやスマホのメモも不可。法務局での本人確認と法定の手続きが必要です
  • 従来の自筆証書遺言(全文手書き)も引き続き有効です

改正ポイント② 自筆証書遺言の押印を廃止

改正により、自筆証書遺言の押印要件が廃止され、本人の署名があれば判子は不要になります。押し忘れによる無効リスクがなくなる実務的に大きな改正です。ただし、本文の自書・日付・署名など他の要件はそのまま残ります。

改正ポイント③ 危急時遺言に録音・録画方式を追加

危急時遺言とは、病気や事故で死亡の危険が迫っている場合の特別な方式の遺言です。現行法では証人が遺言者の発言を書面にまとめる方式が中心ですが、改正後は録音・録画により記録する方式が追加されます。

注意点として、1人でスマートフォンで動画を残せば有効になる制度ではありません。証人の関与など法定の要件が必要で、あくまで緊急時の例外的な制度です。通常の終活には、自筆証書遺言、保管証書遺言、そして最も確実な公正証書遺言の利用をおすすめします。


改正後も注意したいこと

成年後見制度について:制度が柔軟になる分、仕組みは複雑になります。補助人にどの権限を与えるかは申立て段階で慎重な設計が必要で、家庭裁判所の運用が実際の使いやすさを左右します。専門職が補助人につく場合の報酬も、必ず安くなるとは限りません。

遺言について:保管証書遺言は自由な形式で作れるわけではなく、法定の要件と法務局の手続きが定められています。

共通:施行日や具体的な手続きは、今後の政令・省令や実務運用で確定します。最新情報の確認が重要です。


まとめ

  • 2026年6月、成年後見制度と遺言制度を抜本的に見直す改正民法が成立
  • 成年後見は3類型から補助中心の制度へ。必要な権限だけを個別に設定
  • 支援が不要になれば途中で終了できる可能性がある
  • 重度の判断能力低下には特定補助人制度を新設
  • 任意後見は監督人を置かない選択肢が可能に
  • 遺言は電子データを法務局で保管する保管証書遺言を創設
  • 自筆証書遺言の押印は廃止、危急時遺言に録音・録画方式を追加
  • 改正法は施行前。利用できる時期や詳しい手続きは今後決定

よくある質問(FAQ)

Q. 改正はいつから使えますか?
A. 公布から2年6か月以内に施行予定です。それまでは現行法が適用されます。

Q. すでに成年後見人がついている場合はどうなりますか?
A. 経過措置の詳細は今後定められます。現時点では現行制度のまま継続します。

Q. パソコンで遺言を書いて自宅に保管すれば有効ですか?
A. 無効です。保管証書遺言は法務局での本人確認・保管手続きが必須です。

Q. 今、遺言や後見の準備を待ったほうがいいですか?
A. 施行までには時間があります。必要性が生じているなら現行制度での対応を検討し、状況に応じて専門家にご相談ください。


成年後見・遺言・相続のご相談は、司法書士法人さえき事務所までお気軽にお問い合わせください。

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